『月球儀』は山本掌の第4句集。帯文:皆川博子、金子兜太。
著者は「海程」同人。
翼たためる馬かいまみし葡萄の木
水の声水のまどろみ夜の桜
不機嫌な化粧(けは)う少年花の塵
おおいなる火種はさくら殺意はや
白馬(あおうま)のまなぶたをうつさくらかな
この指がこの腕が燃えきさらぎ
てのひらの有刺鉄線春の雨
若鮎の骨美しき宇宙塵
鮎食べて天球の半径を測る
樹下春光内耳たどれば地中海
大花野遠流のごとく虚無に棲む
水底(みなそこ)の凍蝶のゆめほのと錆び
冬の虹脳石灰化ぞうぞうと
父という寒夕焼けを歩むかな
耿耿(こうこう)と水に眠れる寒牡丹
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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