『穀象』は岩淵喜代子(1936 - )の第6句集。詩歌文学館賞。
作者は「ににん」代表。
穀象に或る日母船のやうな影
馬に馬寄り添ふ白夜の地平線
水母死して硝子のやうな水を吐く
水着から手足の伸びてゐる午睡
百歳のはじめは赤子草いきれ
みしみしと夕顔の花ひらきけり
万緑や火の坩堝から汲むガラス
夏霞から歩み来てメニュー置く
このごろは廊下の隅の竹夫人
踊手のいつか真顔となりにけり
一斉に二百十日の箸を持つ
梨を剥くたびに砂漠の地平線
葛の根を獣のごとく提げて来し
炬燵から行方不明となりにけり
刃物みな空を映して農具市
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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