今月は上旬、本が読める体調になったと思ったら中旬から大崩れ。後半はほぼ何も読めずに過ぎた。
装幀として懐かしいのは田中光二『大放浪』(空山基)、松本清張『渡された場面』(斎藤和雄)、星新一『ごたごた気流』『宇宙の声』(和田誠)、江戸川乱歩『白髪鬼』『D坂の殺人事件』『魔術師』(多賀新)など。
横溝正史『幽霊鉄仮面』(田村元)はリアルタイムでは見た記憶がない。
渡辺玄英『海の上のコンビニ』は朗読イベントのときにご本人に頂いたもの。記して感謝します。
田中光二『大放浪』徳間文庫・1980年
《南太平洋でクルージングを楽しんだツトムはサンフランシスコへ帰ってきて驚いた。巨大な廃墟! 街には未知の疫病が蔓延し、人影がまったくなくなっているのだ。
やがて正体不明の病原菌が巻きおこすパニックは全世界にひろがってゆく。
人類の根絶を防ぐため、謎の富豪R・Rはエリート集団だけの生存を企て、原子力飛行船を使った「ノアの箱舟計画」を実行するが……。気鋭の長篇冒険小説!》
横田順彌『惜別の宴』徳間文庫・1995年
《明治も末。皮膚が鱗状になった少年が急死し、調査依頼が、科学小説作家の鵜沢龍岳と〈武侠世界〉主筆の押川春浪に持ち込まれた。同じ頃、天皇の病状が悪化した。二人の探索では、侍医の田上が少年と接触した形跡があり、伊藤博文と大逆事件の管野スガの遺体にも鱗があった。そして今、乃木大将にもその兆候が現れたのだ。春浪&龍岳が大いなる謎に挑むシリーズ第三作。》
かんべむさし『第二次脱出計画』徳間文庫・1993年
《――職業、ドタバタ作家。本名山坂喜三郎でペンネームがオール平仮名、なんのぼうし。
上司に辞表を叩きつけ、不自由なサラリーマン生活から脱出をはかった俺。自由の天国自在の極楽、毎日毎日ハレハレ気分……と思いきや。セールス、勧誘、寄付、署名、おまけに編集者からのおかしな注文と、いつの間にやらがんじがらめ。ついに俺は次なる脱出を計画したが……。痛快ユーモア・ドタバタ長篇。》
眉村卓/日下三蔵編『日本SF傑作選3 眉村卓 下級アイデアマン/還らざる空』ハヤカワ文庫・2017年
《第三弾は、アイデアSFの名手、眉村卓。SFコンテスト佳作のデビュー作「下級アイデアマン」、醜い宇宙人をめぐり美醜の基準を問う「わがパキーネ」ほか〈異種生命SF〉十三篇、人間とそっくりなロボットが共存する社会の陥穽「準B級市民」ほか、組織と個人の相克を描く〈インサイダーSF〉九篇を収録する。》
収録作品=下級アイデアマン/悪夢と移民/正接曲線/使節/重力地獄/エピソード/わがパキーネ/フニフマム/時間と泥/養成所教官/かれらと私/キガテア/サバントとボク/還らざる空/準B級市民/表と裏/惑星総長/契約締結命令/工事中止命令/虹は消えた/最後の手段/産業士官候補生
長井彬『函館五稜郭の闇』講談社ノベルス・1986年
《カメラマンの栗栖晶は函館立待岬で撮影中に、トレンチ・コートに黒いソフトをかぶった男が海へ転落死するのを目撃した。死体は海から上らず、翌日、函館山で青酸中毒死しているのが見つかった。転落死した男が、同時刻に別の場所で死んでいた! 謎を追う栗栖の前に、長い髪の女と新撰組土方歳三の懐中時計が……。》
松本清張『渡された場面』新潮文庫・1981年
《四国の県警捜査一課長香春銀作は、文芸雑誌の同人誌評に引用された小説の一場面に目をとめた。九州在住の下坂一夫が書いたというその描写は、香春が担当している“未亡人強盗強姦殺人事件”の被害者宅付近の様子と酷似しすぎていたのだ。再捜査により、九州の旅館女中の失路事件と結びついとき、予期せぬ真相が浮び上がる――中央文壇志向の青年の盗作した小説が鍵となる推理長編。》
星新一『ごたごた気流』角川文庫・1985年
《一本の電話をうけたとたんショック状態に陥る人が、青年のまわりに続出しはじめた。わけを聞いても、みんな「なんでもない」の一点ばり。いったいどんな電話なのか? 好奇心をかきたてられた青年に、ついにその電話が。そして…。(「なんでもない」)
青年の部屋に美女が出現した。となりの女子大生の部屋には死んだ父親が。幻だった。その現象は広がり、ヒットラーや由比正実も出現した。やがてそれは人々の夢が幻となって現れたのだとわかった。みんながみんな、自分の夢をつれて歩きだした。世界は夢であふれかえり、その結果――。(「重なった情景」)
表題作「ごたごた気流」ほか、皮肉でユーモラスな短編11編を収録。》
収録作品=なんでもない/見物の人/すなおな性格/命の恩人/重なった情景/追跡/条件/追究する男/まわれ右/品種改良/門のある家/ごたごた気流
佐江衆一『猫族の結婚』角川文庫・1976年
《――私も赤ちゃんも死ぬわ……誰も助けてくれない……この土地は呪われているのに、誰も気づこうとはしないわ……。
明るい陽光に充ちた海辺の町に住みたいと願い、逢引のお茶代を節約、8年も結婚を延ばし、やっとマイ・ホームを得た若い男女を待っていたものは?
弱者、ダメな者達のマヤカシの平和に対する勇気ある反逆の悲劇を幻想的に描いた妖気あふれる秀作集。》
収録作品=猫族の結婚/繭/休日/穏やかな影/客
塚原史『人間はなぜ非人間的になれるのか』ちくま新書・2000年
《「人間」とは、自由で平等な近代社会を作るための発明品だった。そして、それは理性的で主体性をもつ個人のはずだった。ところが、巨大化し機械化する都市の孤独のなかで、この人間たちは気づかされる。「理性と主体性のある「私」なんて嘘だったんだ!」このときから「人間」は「非人間的」な存在へと急速に劇的に変貌していった。「自由な個人」から「全体主義的な群衆」へ、「理性的な主体」から「無意識に操られる客体」へ。何がどうして起こったのか。壮大なスケールで描きだす「非人間」化の歴史。》
星新一『宇宙の声』角川文庫・1976年
《この広い宇宙には、想像もできないような怪事件が待ちうけている。宇宙基地に連れてこられたミノルとハルコは、奇妙な“電波幽霊”の正体をつきとめるため、基地要員のキダ、特殊能力ロボットのプーボとだだっ広い宇宙空間へ旅立った。
ものすごく攻撃的な鳥が支配していたテリラ星、動物だけを食べつくす恐ろしい植物に占領されたオロ星、かぶと虫のような怪虫に滅ぼされてしまった無人の星など、果てしない宇宙で彼らは大活躍!
すばらしい空想の世界に読者をさそいこむ傑作宇宙冒険小説、表題作ほか「まぼろしの星」収録。》
収録作品=宇宙の声/まぼろしの星
渡辺玄英『海の上のコンビニ』思潮社・2000年
《今日あなたはコンビニへいきましたか?ゆくところがないから?欲しいものがあるから?レジにいる知らないひとが優しいから?―軽妙な言葉たちの繰りだす問いかけに、詩人が見据える人間存在の危うさと不透明さが浮かびあがる。そう、まるで「海の上のコンビニ」のように。既成の「言葉」に根底から揺さぶりをかける快心の新詩集。》(「BOOK」データベースより)
横溝正史『幽霊鉄仮面』ソノラマ文庫・1976年
《“狸のお舟は泥の舟 ブクブク海に沈んだ 唐沢雷太は古狸 いまにお海に沈むだろ ――幽霊鉄仮面” 新聞に掲載された世にも不思議な殺人予告に世間はわきかえった。まず事件を追っていた新聞記者が殺されたあと、予告通り、宝石王唐沢雷太は袋づめの死体となって隅田川に浮かんだ。まだその恐怖が冷めやらぬうち、またしても第二の殺人予告。幽霊鉄仮面の正体をあばくため、三津木俊助、由利先生、御子柴進少年の活躍が続く。》
サキ『サキ短篇集』新潮文庫・1958年
《ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。『開いた窓』をはじめとする笑いと幻想と残酷さにみちた代表的短編21編を収める。》
収録作品=二十日鼠/平和的玩具/肥った牡牛/狼少年/話上手/七番目の若鶏/運命/開いた窓/宵闇/ビザンチン風オムレツ/休養/マルメロの木/親米家/十三人目/家庭/セルノグラツの狼/おせっかい/ある殺人犯の告白/ラプロシュカの霊魂/七つのクリーム壼/盲点
金井美恵子『愛のような話』中央公論社・1984年
《むろん、筆者は「愛そのもの」について書こうなどとは、いかなる場合にも一度も思ったことがないのだ。いずれにせよ、誰もが書くことを誰でもが書くのだ。それでも、なお、帰属先を奪われている言葉でもって、ほそいほそい境界線を、ほんの少しだけ越してしまうことを、指に夢見させ欲望させながら……。》(「あとがき」より)
収録作品=グレート・ヤーマスへ/沈む街/1+1/栗/両性具有者(たち)/恋愛〈小説について〉/『岸辺のない海』補遺
栗本薫『真・天狼星 ゾディアック1』講談社文庫・2001年
《新宿で発見された少女三人の死体は、血を抜き取られ、バラバラに継ぎ合わされていた。同様の事件は日本各地でも起こっていた。少女たちの間で密かに流行する「ゾディアック・カード」との関連は? 魔人シリウス復活の予感に、伊集院大介は戦慄する。宿敵との最後の闘いが始まった。全6巻シリーズ第1弾。》
栗本薫『真・天狼星 ゾディアック2』講談社文庫・2001年
《「東京ヴァンパイア事件」解決へ、伊集院大介が動き出す。殺された中年男性が侍っていた謎のバンド「ゾディアック」のCDが事件解明の鍵となるのか? 一方、かつて大介がシリウスから救った竜崎晶はミュージカルの主役に技てきされる。だが、晶の身辺にも新たな事件と殺人鬼・刀根一太郎の不吉な影が……。》
栗本薫『真・天狼星 ゾディアック3』講談社文庫・2001年
《連続猟奇殺人・ヴァンパイア事件のキーワードは「ゾディアック」!? 伊集院大介の助手・アトムくんは謎のバンド「ゾディアック」のライブに潜入を試みるが……。一方、竜崎晶が主役を得たミュージカルは初日の幕を開ける。晶は悪の王子アデルを圧倒的な存在感で演じ切り、一夜にしてスターの座についた。》
栗本薫『真・天狼星 ゾディアック4』講談社文庫・2001年
《ニューヨーク市警の捜査官との情報交換、そして数々の聞き込みから惨殺された牧村レオナのすさんだ行状を知る伊集院大介。次に狙われる獲物は、晶ではないか?――その予感が的中するかのように、晶の周辺で新たに起こる殺人事件。シリウスや刀根の影もちらつくなか、大介は事件解明のために苦闘する。》
栗本薫『真・天狼星 ゾディアック5』講談社文庫・2001年
《謎の集団「ゾディアック」の標的となった竜崎晶を守るため、伊集院大介は苦闘する。殺された牧村レオナの過去をたどるうち、浮かび上がってきた2人の「ケイ」。彼らこそヴァンパイア事件の鍵を握っているのか? そして六本木のゲイバーで、ついに大介は解明の糸口にたどりつく。闘いは最終局面を迎えた。》
栗本薫『真・天狼星 ゾディアック6』講談社文庫・2001年
《殺人鬼・刀根と共に竜崎晶が失踪した。彼は新たな魔王へ変身するのか? ヴァンパイア事件の推理に確信を侍った伊集院大介は晶の行方を追って「ゾディアック」の中枢へ突入する。そこに現れた宿敵シリウス! 3人の魔王と対峙した名探偵の最後の死闘!! 天狼星シリーズは、ここに衝撃の最終決着を迎える。》
ピエール・クロソウスキー『ロベルトは今夜』河出文庫・2006年
《自宅を訪問する男を相手かまわず妻ロベルトに近づかせ、不倫の関係を結ばせて客人のもてなしに供する《歓待の掟》に魅せられた夫オクターヴ。原罪と自己超越を追求する行為の果てには何が待っているのか。一九五四年に発表され、今なおその衝撃的な内容に論議が尽きない哲学小説、待望の文庫化!
◎解説=鈴木創士》
河野典生『芸能界考現学―イメージの中を生きる 松田聖子、ビートたけしから、山瀬まみ、所ジョージへ』大陸書房・1990年
《アイドル、バラエティ、シンガーソングライターの時代を経て90年代に向かう芸能界―テレビ、映画、CF、歌謡曲、ロック、ジャズ、討論芸人までを、タフさとやさしさを併せ持つ視線で、ドラマティックに観察分析する画期的長編エッセー。》(「BOOK」データベースより)
江戸川乱歩『白髪鬼』春陽文庫・1987年
《姦夫姦婦のために家庭を奪われ、財産を奪われた男のせんりつすべき復讐の物語!
推理小説界の最高峰に位置する巨人江戸川乱歩の名作、
九州の西岸にあるS市の旧家大牟田家のあるじ、子爵の敏清は、当時十八歳の美女瑠璃子を妻とし、親友川村義雄と三人でしあわせな日をおくっていた。しかし、川村と瑠璃子の邪恋の犠牲となり、敏清は地獄岩から落とされた! 墓所の穴蔵に入れられた棺の中で敏清は息をふき返したのであった! 暗黒の世界にとじこめられた恐怖は、敏清の黒髪をしらがに変えてしまった! シナ海の海賊朱凌谿が隠していた莫大な財宝を手にした敏清は……。
成金紳士里見重之にみごとに恋身した大牟田敏清のふくしゅうはどうなされたか!?》
江戸川乱歩『D坂の殺人事件』春陽文庫・1987年
《D坂の古本屋の細君が殺された! その死体には生傷がたくさんあった!
D坂のカフェー白梅軒で知り合いになったわたしと明智小五郎は、犯人さがしに懸命になった。わたしの推理では明智が犯人かと思われた! だが……
危うく犯人にされそうになった名探偵明智がとき明かしたおどろくべき真相とは?
乱歩初期の名作として評判高い「D坂の殺人事件」(大正十四年発表)をはじめ、現場にのこされた足跡のナゾを追って真犯人探求の興味をもりあげる秀作「何者」(昭和四年発表)その他五編を収録した江戸川乱歩(1895~1965)の傑作中・短編集!
騒然たる話題を呼んで、乱歩独自の妖美の世界はくりひろげられてゆく!》
収録作品=何者/D坂の殺人事件/一人二役/算盤が恋を語る話/恐ろしき錯誤/赤い部屋/黒手組
江戸川乱歩『魔術師』春陽文庫・1987年
《探偵小説の一大金字塔! 不滅の足跡を遺す巨星・江戸川乱歩の長編傑作!
しばしの休養のため湖畔のホテルにやってきた名探偵明智小五郎は、東京の大宝石商の娘玉村妙子と知り合ったが、それが玉村家の怪事件へかかわり合うことになる始まりだった。
玉村宝石王の実弟福田得二郎のところへ簡単な数字の幽霊通信がきはじめた。それが「三」となったとき得二郎は自室で殺され、血まみれの死体から首が奪われていた!
白鬚橋付近の大川を生首が流れ、その首をのせた板には「獄門舟」とかかれていた!
悪魔の手にとらえられた明智小五郎の運命は風前の灯であった! そこへ出現した怪しの道化師! 玉村家を次々に襲う復讐鬼のねらうものは? 尽きせぬ興味で物語は核心へ!》
高階秀爾『続・名画を見る眼』岩波新書・1971年
《西洋美術鑑賞の懇切な手引として好評の『名画を見る眼』の続篇。本書では、モネ以後の近代絵画の名作をとりあげて、その題材、表現方法、技術、歴史的・思想的背景などを解説する。印象派・後期印象派をはじめ、素朴派、立体派、表現主義などの諸潮流から抽象絵画まで、その精華を紹介しつつ、豊かな美術の世界へと読者を導く。》
小此木啓吾『シゾイド人間―内なる母子関係をさぐる』講談社文庫・1984年
《調子がよく、それぞれの場面にふさわしい人物を演じてはいるが、ぶつかり合ったり争ったりすることを通しての激しい愛や憎しみの結びつきがない――同調的引きこもりという現代人の心理特性を鮮やかに分析して「シゾイド(分裂)人間(schizoid person)」像を提示し、人間の心の成り立ちをさぐる話題の名著。
アーサー・C・クラーク『天の向こう側』ハヤカワ文庫・1984年
《はるか下には緑の地球、そして上には星々の輝く大宇宙……赤道上空22000マイルの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで働く人々の哀歓を、豊かな科学知識をもとに軽やかに謳いあげたオムニバス形式のタイトル・ストーリイ「天の向こう側」、最新鋭のコンピューターを使い、たった9文字のラマ字で90億の神の名を書こうと企てる不思議なラマ僧たちの話「90億の神の御名」、米英ソ三国の月開発史を、ユーモアあふれる筆致で描いたオムニバス中篇「月に賭ける」など、巨匠アーサー・C・クラークが本格SFの真髄をあますところなく伝える、珠玉の14中短篇をここに収録!》
収録作品=九〇億の神の御名/密航者天の向こう側/暗黒の壁/機密漏洩/その次の朝はなかった/月に賭ける/宣伝カンパニア/この世のすべての時間宇宙のカサノヴァ/星/太陽の中から/諸行無常/遙かなる地球の歌
加藤碵一・青木正博『賢治と鉱物―文系のための鉱物学入門』工作舎・2011年
《宮澤賢治の珠玉の言葉からひもとく、美しい鉱物の世界。
宮澤賢治の作品には、鉱物が数多く登場し、魅力の一つとなっています。
賢治が愛した鉱物たちを色ごとに紹介し、美しい写真と詳細な科学的解説で鉱物の世界を案内します。
鉱物フレーズ200作品×鉱物53種カラー写真109点×最新の鉱物解説の3つの柱から
賢治の世界をより深く知ることができる一冊。》
グレゴリー・ガリー『宮澤賢治とディープエコロジー―見えないもののリアリズム』平凡社ライブラリー・2014年
《この作家が最先端の科学と共有したエネルギーの連鎖など見えないもののリアリズムの思想を確認しディープエコロジーとの連関を描く。》
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『闇を讃えて』水声社・2006年
《“わたしは今すべてを忘れようとする。
わたしの中心に、わたしの代数学、わたしの鍵、わたしの鏡に達するのだ。
わたしは誰か、今それをしるだろう。
”忘却、死、非在。
散文と詩が混在する、70歳に達したボルヘスの5番目の詩集。》
ミシェル・レリス『闘牛鑑』現代思潮社・1971年
《〔画・マッソン〕聖性探求者が凶暴な力と死満つ闘牛場の典礼美と供犠に投身。》
シモーヌ・ヴェイユ『超自然的認識』勁草書房・2014年(改版)
《神秘主義的傾向を一層強め、教会への批判も鮮明となった最後期のノートより。ヴェイユ思想の終着点!》
池田真朗『民法はおもしろい』講談社現代新書・2012年
《知らないと損をしてしまう、「人生の必修科目」!
連帯保証人の悲劇とは? ゴミ集積場に出したゴミは誰のもの?
ネットで誤って承諾をクリックしてしまったら。振り込め詐欺にあったら――。
変わりつつある「現代社会の基本法」を第一人者がわかりやすく紹介する格好の入門書。》
筑波耕一郎『危険を買った男』角川文庫・1980年
《クラブ「ガルシア」のしがないピアノ弾き冬木は、店で知り合った美矢子と箱根へ向かう途中、一発の銃声と共に車が炎上しドイツ人メツラーが焼死するのを目撃した。その直後、美矢子は失踪した。
三か月後、冬木は同じアパートの住人木戸の頼みで、謎の白い粉末をある男に渡すため芝浦に行くが、その男は冬木の目の前で射殺される。そして彼のボケットにはメツラーの写真が……。
メツラーは本当に死んだのだろうか? 美矢子は何故失踪したのか。芝浦の若い男は? 冬木は知らず知らずのうちに自分が事件の渦中に巻き込まれていくのを感じた。
大型新人筑波耕一郎が壮大なスケールで描く、書下しサスペンスミステリー。》
筑波耕一郎『殺人は死の正装』角川文庫・1980年
《ある雑誌に発表された「詰まない犯罪」は奇妙な小説だった。一組の男女がマンションの一室で殺される話だが、それが三年前に起こった事件と非常によく似ている。しかも実際の事件は“互殺”として処理されているのに、小説の方には真犯人がいた。そして三年前の事件の渦中の女性と友人であり、この小説に異常な興味を持っていた和子は、自動車に轢き逃げされ死亡した。和子のいとこの逸平は、轢き逃げ事件のあまりのタイミングのよさに疑問を抱き、生前の和子の足どりを追ってみると、彼女が相当深く事件に介入していた事実が明らかになった。もしかするとあの事故も裏で誰かが……。
期待の大型新鋭、筑波耕一郎が放つ長編ミステリー。》
尾崎一雄『ペンの散歩』中央公論社・1978年
《文学一筋に生きた青春の日に邂逅した題語の源を探り解明の過程を楽しむ表題作、身辺の自在の生を写す下曽我だより等、深遠な自然観照と文学の滋味溢れる随筆集》
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