12月は中盤大きく体調が崩れて(嗜眠症的に寝てばかり)、以後ほとんど何も読めなくなった。今でも変な熱っぽさや何かが続いていて、あまり復調していない。冊数はかなり落ち込んだ。
装幀として懐かしいのは、辰巳四郎が手掛けた西村京太郎『北能登殺人事件』、金森達による佐野洋『無効試合』等。
土浦市の古本屋「まんがらんど」が閉店してからあっという間に丸一年経過してしまったが、閉店セールのときに9割引で買い込んだラノベ・BL本の類は、未だに消化しきれていない。今後もまだまだ続く。
土浦市立図書館が再開した。駅に隣接する形で新築されたものである。今のところかなり不便で、社教センターのボロビルに同居していた頃の方が、使い勝手はまだマシだった。民間の業者に運営が委託されたようで、顔の分かる司書さんは一人もいなくなった。
本とは関係ないが、私が小学生だった頃から営業していた近くの喫茶店「花キャベツ」が昨日で閉店してしまった。閉店前日に大入り満員のなか行ってきたが、ランチメニューの味と値段をもっと早くに把握していれば、通い詰めていたはずだった。
阿刀田高『最期のメッセージ』講談社文庫・1985年
《まじめ人間にとって、恋の相手が悪かった。らつ腕のホステスだったのだ。たちまち貯金をはたき、会社の金に手をつけ、挙句にクビ。むろん女は嬉々として去って行った。男はひそかに報復を計画する。それも五年がかりで……。
巧みなプロット、しゃれた語り口、意外な結末で読者を異次元に誘う42編のショートショート集。》
収録作品=四角い檻/酔中タバコ/似たもの夫婦/あらすじ/七日夜物語/ジプシー占い/すてきな甘味料/命日の天和/放心/シャボン玉/再会/夫婦学校/設計図/電話友だち/金魚を飼う女/干し首製造法/木の実を待ちながら/ホーム・ゴルフ/時計台/一瞬の顔/すばらしい養老院/高所恐怖症/暗い日曜日/すてきな美容院/理想的な環境/宝くじを買う男/菜食主義者/十八歳/幸福番号/邪馬台国異聞/誘拐術入門/兄弟/金魚を飼う男/悪いとき保険/サラリーマンの死/ピコピコ・ユートピア/さむらいの末裔/おばあちゃんのお守り/醜い芸能界/簡易金儲け法/地震対策/最期のメッセージ
黒井千次『隠れ鬼』新潮社・1984年
《家出した妻からの電話を使って、無意味な言葉の尻取り遊びに興じる夫妻の心の空白――妻は夫の許に帰るのか? それとも? 見え隠れする家族の肖像を描く。》
収録作品=隠れ鬼/石の話/樹の話/出発まで/一夜/男の車/知らない顔/袋の男
釘宮つかさ『溺愛サディスティック』プリズム文庫・2016年
《妹との賭けに負けた歩は、ばっちりメイク、それにウィッグとワンピースで完璧に女装して、お見合いパーティーに参加することになった。会場では男だとバレず、それどころか多くの男性参加者からちやほやされるが、自分が男の姿なら彼らは見向きもしないだろうと次第に落ち込んでいく。歩が帰ろうとしたとき、偶然にも勤め先の社長と出くわしてしまう。彼に素性がバレないよう歩は祈るけれど……。》
高橋ナツコ/原作:馬谷くらり『美男高校地球防衛部 LOVE! NOVEL!Ⅱ』ぽにきゅんBOOKS・2016年
《いつもの放課後、いつもの帰り道。
黒玉湯へ向かう防衛部が、雨上がりの虹を眺めると……
由布院の腕の中に、突如金髪碧眼推定7歳の少年が!!!!
どういうこと煙ちゃん!なにしてんすか先輩!!
戸惑ったり怒ったり笑ったりキュン死したり。
今日も防衛部は、熱い愛をお届します。》
久我有香『魚心あれば恋心』ディアプラス文庫・2012年
《突然畑違いの釣り雑誌編集部に配属され、知識もほとんどないまま若手プロアングラー(釣り師)・日垣と初心者向けの入門書を作ることになった俊文。無愛想で目も合わせようとしない日垣の態度に最初は不安を覚えるものの、実は極度の人見知りだとわかってしまえばぶっきらぼうな態度もかわいいばかり。日に日に育っていく自分の気持ちに戸惑う俊文だが……? イケメン編集×人見知り釣り王子の年の差ラブ♡》
西村京太郎『北能登殺人事件』カッパ・ノベルス・1984年
《北能登・恋路海岸で一発の銃弾が、若い女性の肩をかすめた。恋人・雨宮真一郎を自動車事故で失い、傷心のうちに死の逃避行に出た松田由紀子を狙撃したのは誰? 現場に居合わせた警視庁・日下刑事は彼女を保護したが、その翌日、由紀子の泊まった部屋に男の死体が……。その横に血まみれのナイフを握った由紀子が! 日下は、十津川警部、亀井刑事の協力のもとに、一連の事件の背後に、芸能界の黒幕・堀場達夫の存在をつきとめた。が、この堀場も欧風列車の車内で殺されて……。
北能登、京都、東京と真犯人を追う若さ日下刑事の執念を旅情豊かに描くトラベル・ミステリー第13弾!》
《この作品は、東京、京都、そして北能登を結ぶトラベル・ミステリーである。
自殺を決意した一人の若い女が、北能登の海岸をさまようことから始まり、大きな謎につながっていくストーリーは、必ず、読者の満足を得られるものと確信している。
北能登には、激しさと優しさのイメージが、私にはある。憎しみと愛といいかえてもいい。
この作品のテーマも、この二つであり、それが書き切れていれば幸いだと思っている。 「著者のことば」》
嵐山光三郎『チューサン階級の冒険』角川文庫・1984年
《嵐山光三郎とは何モノかというと、にわかには答えられない。いろいろなことをやってきた。だから、友だちが多いヒトだ。今も、かぞえきれないほどたくさんのことをやっている。それで、ますます友だちがふえている、らしい。昔から忙しかったのに、メゲずに書くことが好きであった。その結果としての、これが、じつは処女作、なのですね。――男ゴコロとか女ごころとか、スジコとかイクラとか、孤独だとか、いろいろなことがわかるようになる。愉しいうえに、読めば効くという、たぐい稀れなる本。著者の性格からも、タイトルからも、これはもうNHKと同じ、世の中に初登場の「皆さまの本」なのであります。》
若桜城虔/原作・監修松本零士『銀河鉄道999』集英社文庫・1979年
《父と母を機械伯爵の人間狩りに殺られた鉄郎は、機械伯爵を倒すことだけが唯一の目的に生きてきた。機械伯爵は宇宙惑星の時間城に往んでいる。鉄郎は、メーテルという不思議な女性と知り合い、彼女を守る約束で銀河超特急999の乗車定期を手に入れた。幾多の困難に出あった鉄郎だったが、キャプテン・ハーロック、女賊エメラルダス、トチローに助けられ、ついに時間城に乗り込んだ……。》
原作/小松左京、脚本/高田宏治、グレゴリー・ナップ、深作欣二『シナリオ 復活の日』角川文庫・1980年
《優秀なシナリオが感動の名作を生みだす。――神が仕組んだ壮大なドラマ、人類は地球を誰にゆずるのか。
一九八二年 秋
世界は死滅した。
南極大陸に
わずか八百六十三名の
人間を残して――。
――吹雪の大アルプスで小型機が墜落し、胴体の破片と黒こげの乗員が発見された。春になり雪どけがはじまると、世界各地で奇妙な死亡事故が報告されぱはじめた……。
BC(生物化学)兵器として開発された新種の細菌、それは、ちょっとした偶発事故からでも人類を破滅の淵におとしいれる。“人類の明日”がためされるとき、映画シナリオの最高傑作!》
佐野洋『無効試合』角川文庫・1979年
《高校野球には独特な熱気と爽快さがある。参加校も年々増えつづけ、“埃だらけの青春”に全国制覇の夢を賭けた県予選リーグでも、過熱ぎみになっていた。
――予選リーグで連続無失点記録を続けている投手が、とつぜん降板した。すべては、監督の釆配だった。試合を見ていた観客は総立ちとなり、監督のこの処置をいぶかった。試合には勝ったものの、取材を続けていた新聞記者・向川には、何かひっかかるものがあった。
プロ野球のスカウトたちが“金の卵”の優秀選手を発掘しようと、鵜の目鷹の目で狙っている地方予選リーグの怪。
過熟興奮ぎみの高校野球の裏がわで起きた、監督撲殺事件の謎を追う長編傑作ミステリー。》
ジャック・デリダ『嘘の歴史 序説』未来社・2017年
《晩年のデリダが1997年におこなった講演録。プラトン、アリストテレス、ルソー、カント、ニーチェ、ハイデガー、フロイトを参照しつつ、時代や文化によってことなる嘘の概念の歴史を問い、とりわけアーレントとコイレのテクストを読解する。意識的に嘘をつくことと知らずに間違うことの差異を明確にし、嘘の概念を脱構築的に問い直す。村山富市元首相の1995年の日本軍の戦争犯罪を認めた戦後50年談話や、ヴィシー政府の戦争中のユダヤ人狩りという犯罪的行為を認めたシラク元大統領の発言などを具体的に論じながら、現代の政治的な嘘をアクチュアルに考察する味読すべき小著。》
スラヴォイ・ジジェク『ジジェク、革命を語る―不可能なことを求めよ』青土社・2014年
《東アジアからこの世界を考えるための手引きに――ジジェクが熱く語る一問一答全34篇!
中国・北朝鮮の独裁政権、エコロジーと科学技術、
プーチンのロシア、ヨーロッパの右翼台頭、アラブの春とその後……。
グローバル資本主義に席巻され、
もはや劇的な変革など不可能なように思われると同時に、
それでも予期せぬ出来事が生じ続けるこの世界。
現代を代表する闘う哲学者ジジェクはどう分析するのか?
韓国のインタヴュアーの問いに対する真摯な応答は、
東アジアに生きる私たち日本人にとってももちろん必読。
現代世界への鋭い視点とともに、
ジジェク理論のエッセンスもコンパクトにつかめる注目の一冊。》
アンドリュー・カルプ『ダーク・ドゥルーズ』河出書房新社・2016年
《ドゥルーズは世界を憎み世界を破壊する哲学なのだ――既成のドゥルーズ像を根底から転換させる新しい思考のマニフェスト。日本のドゥルージアン4名からの応答を付す。》
アントニオ・タブッキ『夢のなかの夢』岩波文庫・2013年
《現代イタリア文学の鬼才タブッキ(1943―2012)が,敬愛する芸術家たちの夢を夢想する――.ラブレーはパンタグリュエルと食事をし,ゴヤは自ら描いた絵の中を次つぎと通り抜け,スティヴンスン少年は,将来自分が書く小説を山の頂で発見する.夢と夢が呼び交わし,二重写しの不思議な映像を作りだす,幻想の極北.1992年刊》
鹿能リコ『万華鏡の花嫁』アズノベルズ・2007年
《20歳を迎えた夜、大学生の千尋は特別な呪術能力をもつ一族たちが暮らす孤島に連れ去られ、自分も能力者であること、一族の一人に嫁がねばならぬことを知らされる。花婿候補は三人…優男風メガネ美形の医師、凪、大学の後輩でクールな美貌の漣、和服の似合う古風で端整な照。三人から淫らな秘儀を施され、千尋は快楽の獣となりながら封印されていた力を目覚めさせていく…。繚乱♪オカルティックエロス書き下ろし❤》
火崎勇『一秒でも世界は変わる』クロスノベルス・2008年
《憧れていたデザイナーが所属する広告代理店に入社した翼。独創的なデザインをするその人の本性は、仕事は出来るが何かと自分にちょっかいをかけてくる厄介な人物だった。そんな男・無花果との攻防を続けていた翼は、ある朝目を覚まして呆然とする。裸の自分の隣で煙草を吸っているのは、なんとその無花果。昨夜の記憶はないものの、カラダには明らかな情事の跡……。問い詰める翼に無花果から放たれた一言は「ついうっかり」で!?》
北杜夫『月と10セント』新潮文庫・1978年
《アポロ11号打上げの取材に渡米することになったどくとるマンボウは、《月乞食》と称し、1枚1ドルで自筆の短冊を売ることを思いついた。さて、ニューヨークに着いたマンボウ、打上げ基地での本番の前にリハーサルをと、和服に白足袋のいでたちで繁華街のどまん中に陣取ったのだが……。月の狂気に憑かれたマンボウが二度の米国遊行の体験をもとに描く〈赤毛布アメリカ漫遊記〉。》
佐野洋『巡査失踪』新潮文庫・1989年
《警察手帳を持ったまま警官が消えた。やがて発見された彼の変死体。捜査会議は即日開かれた。遺体検案と鑑識の結果はすべて自殺説を裏付けるものばかりであったが…保険金詐欺と殺人を大胆な手法で結び付けた表題作など、さまざまな殺人事件の捜査の展開から事件解決に到る過程を、北海道垂内署の敏腕刑事たちを主人公に描く、著者初の本格的警察推理小説6編収録の連作短編集。
池澤夏樹『見えない博物館』小沢書店・1986年
《世界のあらゆる事象のカタログを意図して、旅に出で、海辺を、内外の博物館を歩く。海と人間、人間とさまざまな道具たち。博物館とは、実物による図鑑なのか、図鑑が博物館を目指してつくられたのか。博物館という切りとられた時空間が提示するさまざまなイメージをめぐらす。―池沢文学の原器ともいえる代表作。》(「BOOK」データベースより)
仁賀奈『溺愛王子のスイートディナー』角川ルビー文庫・2014年
《王子だけを集めたブルジェオン学院へ入学した、ヤマト国の皇子・ソウシ。ここには自身の宝石を奪った生徒に服従を誓う『ジェム・デュエル』という掟があった。その学院の中で、幼い頃仲の良かった友人・ユーリアンと再会し安堵するソウシだが、優しくも強引な彼に騙され、デュエル用の真珠を奪われてしまう。ユーリアンに服従することになったソウシは、なぜか自分を独占したがる彼に夜毎巧みな性戯をしかけられ…!? 官能ラノベ界の旗手が描く、濃密ディナー・オン・ザ・ベッド❤》
森本あき『教授と恋に落ちるまで』シャレード文庫・2012年
《大学教授の連平に一目ぼれした大学生の海羅。 講義の時は一番前でずっと連平を見つめ、女子学生に交じって質問をし、教授室にも押しかけ、待ち伏せだってしてるのに、「学生とつきあう趣味はない」と、ちっとも振り向いてくれない。でも一年間の熱意の賜物か、連平の書斎の整理を条件に彼の家に通うことを許された! やっと手に入れた連平との二人の時間。それだけでも満足だったのに、片づけが一段落したある日、今日は海羅の好きなことをしようと連平が提案してきて…!?》
生田直親/写真・吉岡直道『さよなら青函連絡船―人魚がくれた手紙』徳間文庫・1987年
《青函連絡船のデッキから、津軽海峡へと身を投げた一組のカップル。船長立ち会いのもと、洋上結婚式を挙げたばかりの幸せそうな二人がいったい何故? 遺された1通の手紙が、二人の哀しい運命を語り始める…(「人魚がくれた手紙」)。
北の海を渡る連絡船と函館の街並みを題材にした珠玉の4篇を収録。書き下し&撮り下しの、詩情溢れるカラー・フォト・ストーリー。》
きたざわ尋子『瞬きとキスと鎖』リンクスロマンス・2009年
《旅行先で暴行されそうになり、逃げ出した長倉佑也は、憧れていた元レーサーの滝川恭史に助けられた。彼が滞在予定だというリゾートホテルに泊めてもらった夜、礼にと身体を差し出そうとするが、そのいたいけな姿に違和感を覚えた滝川に拒絶される。複雑な家の事情から、代償を求められることに慣れてまっていた佑也。頑なになっていた心を包みこむような滝川の優しさに、戸惑いながらも想いをゆだねていく。しかし、何者かが佑也をつけ狙い始め…。》
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