「庫内灯」3(編集発行人:merongree、2017年11月)から。
今回は編集長の趣味で海外文学×BL俳句。漫画、評論等も掲載。
以下、海外舞台俳句。
名誉といふ黒き日傘の覆へる地 山城周(インド)
腹筋が割れジャスミン茶プーアル茶 山田露結(上海)
上海に来ないかとマントの文士 なかやまなな(満州国)
ぎゆつと胸掴んで夏野の相撲かな 北大路翼(モンゴル)
タクシーよ夏の限りを走り切れ 山階基(台湾)
髪洗ふ明日蜂蜜商になる 西川火尖(ベトナム)
ボクサーを汗の果実と思ふなり 松本てふこ(バンコク)
瓦礫に眠る俺は夢を見なかった 春鮫(ドゥブロヴニク)
聖金曜日あなたの舌に抗へず 堀田季何(フランス)
オオグソクムシが花咲く青年に 小津夜景(冥土)
以下、海外文学感想俳句。
うすものとともにヴァギナを外しけり 旭ミコ(『女中たち バルコン』ジャン・ジュネ)
恋ふことも飢ゑのひとつにコヨーテは 石原ユキオ(『ハツカネズミと人間』スタインベック)
黒ぶだう尻に嵌めなほ戦中なる かかり真魚(『悪童日記』アゴタ・クリストフ)
稲光二の腕太き大天使 喜川(『蜘蛛女のキス』マヌエル・プイグ)
桃剥いてくれてそれから君ずつと 坂入菜月(『史記』司馬遷)
梟の止まり木となる腕で抱く 小鳥遊栄樹(『ハリー・ポッターと賢者の石』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』J・K・ローリング)
諫言の声うつくしや蝶の昼 豊永裕美(『正史 三国志』陳寿)
切り裂くに緑滴る大広間 中丘(『ハリー・ポッターと謎のプリンス』『ハリー・ポッターと死の秘宝』J・K・ローリング)
鞦韆をきはめて天の深さかな ネムカケス(『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー)
泉にはいまもたゆたひ血の一筋 林雅樹(『アルゴールの城にて』ジュリアン・グラック)
精液や青空いろの春の服 鷭夏彦(『泥棒日記』ジャン・ジュネ)
林檎放る一番好きな友達に merongree(『車輪の下』ヘルマン・ヘッセ)
コメント
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