『カムイ』は櫂未知子(1960 - )の17年ぶりの第3句集。
作者は「群青」共同代表、「銀化」同人。
水打つて旧町名を思ひ出す
誰からも見えて蠅取リボンかな
ほつそりと道のつづける残暑かな
露草のしいんと群れてをりにけり
秋草も猫も愚かに雨の中
夜空より林檎をもぐといふ遊び
清羹(コンソメ)のどこかに脂花は葉に
洗ひ髪神威岬(かむいみさき)に吹かれつつ
鉄道は永久(とは)に通らず在祭
おとうとの遠さにも似て冬銀河
火事かしらあそこも地獄なのかしら
経験の多さうな白靴だこと
風鈴を外し忌中となりにけり
月光を居間に通してくれますか
はつふゆの猫にうつすら静電気
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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