『かりぬひ抄』は松本邦吉(1949 - )の第1句集(ただし先に詩集『しずかな人 春の海』があり自選百句が収録されている)。
作者は「古志」所属。
寂として大うなばらのかぎろへる
山はみな女人なるらし眠りふかし
遍路ゆく水平線のまるきこと
砂金湧くごとし西日が部屋ぢゆうに
丸山建三逝く 四句 から
鯨啼くこの世に君のなかりけり
鳥のこゑこぼれて赤し寒の入
そのこゑのひと色ならず猫の恋
湯けむりの中を枯野のさまよへる
木がらしや月に地球の影しろき
初夏はきれいな首のキリンかな
原発反対集会 四句 から
よき風は脱原発のうちはから
冬深しユトリロの白マネの黒
この谷に大寺一つ春の鳶
観音のおおきな顔や山眠る
妻、二度目のインド。リシケシより無事帰国す
ヒマラヤを見てきしひととおでん酒
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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