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「鷹」(発行:小川軽舟)2017年4月号から。
インタビュー《俳人を作ったもの 第10回》は片山由美子(聞き手・髙柳克弘)。
向き合へる湯宿の座椅子春浅し 小川軽舟
傘の骨ほきほき畳む春の虹
裏山のある家羨し雛用意 布施伊夜子
悪女来てあやとりにつきあへといふ 竹岡一郎
スーパームーン寒林隅々まで応ふ 志賀佳世子
一塊の寒さのごとく猫戻る 黒澤あき緒
「らん」(発行:鳴戸奈菜、編集:五十嵐進、皆川燈、結城万)No.77(2017年4月)から。
特集は《岡田一実第一句集『小鳥』・第二句集『境界-border-』を読む》。
つぎつぎになりゆくいきほひ火の蠍 五十嵐進
未来は過去からやってくるという臓腑
一望にセブンイレブンという枯野 山口ち加
飛びおりるのにいいお部屋冬うらら M・M
春の地球や球形に空気満ち 岡田一実
指切の指ではないか春の小川 金子 彩
「都市」(発行編集:中西夕紀)2017年4月号から。
人のゐて火を作りをり春磧 中西夕紀
金箔の冴えもキトラの天文図 桜木七海
冬紅葉東京タワー縮みけり 砂金 明
2017年3月邑書林
『日脚』は岡田耕治(1954 - )の20年ぶりの第2句集
作者は鈴木六林男に師事。「花曜」「光芒」を経て「香天」創刊代表。
牡丹の芽友は女のもとにいる
家中に草のびている朝寝かな
手をつなぐ祭の中を抜けるため
家で死ぬ干し物の空高くして
恋人の顔が切りたる蜘蛛の糸
蜻蛉の向きの変わりし読書かな
恋愛の歩いて渡る秋の川
フラスコの中が燃え出す花の夜
全員が出掛けるというバナナかな
血管をたどる八月十五日
理科室の全身に雷走りけり
抽斗の全てを抜けば葉月来る
初時雨倉庫の中に椅子を置き
共に読む絵本の決まる蒲団かな
煙突の内を濡らして春の雪
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
2017年4月マルコボ.コム
『水掻き』は、第6回百年俳句賞――大人のための句集を作ろう!コンテストの最優秀作品を冊子化した、ふづき(1961 - )の句集
作者は2007年、夏井いつきのカルチャー教室で句作開始。
春や土起こせば縺れくるひかり
解氷の朝をきんいろなる羽音
叱られて菫より母小さくなる
蝌蚪の足伸びる速さで炉に亀裂
湯にゆらぎ春宵の茶葉ふくらみぬ
前列より配るテキスト朝桜
母屋より届く五分粥花うつぎ
潮と潮ぶつかり夏の月あかあか
龍の尾のごとき早瀬や雷去りぬ
俳人A蔵の窓より蜘蛛放つ
白杖は夕蝉の杜抜け来しか
古墳までコスモスうねる野を犬と
秋薔薇や禁煙席を分かつ玻璃
父の忌はいつも晴れます柿羊羹
すみれ色の湯を抜きボーナス日の終わる
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
「面」(発行:高橋龍)第121号(2017年4月)から。
年譜、「戦時下の東京と西東三鬼」、「師弟対談 西東三鬼・三橋敏雄」、GHQ検閲文書の影印(三鬼の広島に関する4句が消されている)等を掲載。
一喝を待つ歳晩の塩の壺 渋川京子
背高きまま老いたれば花野見ゆ 遠山陽子
法科大学院全灯ともす無月かな 山本左門
反り気味に双(ふた)つ尖(と)んがる春の峰 高橋 龍
「陸」(発行:中村和弘)2017年4月号から。
恐竜の卵に斑有り雛祭 中村和弘
懐手して電線の見えてくる 大石雄鬼
ピータンの核の混沌女正月 石川真木子
俳句同人誌「今」(編集・保坂敏子、発行・瀧澤和治)2017年春-第17号から。
日輪の暈疾く消えて孕鹿 瀧澤和治
かまくらの中あかあかと三姉妹 加藤 勝
海抜セロメートル雪一直線 横内悦子
水平に進む海亀神の旅 高野公一(会員・春の作品特集)
「篠」(主宰・発行:岡田史乃)Vol.180(2017年4月)から。
花衣ひきずつてゐる老女かな 岡田史乃
サーカスに売られそこねた子も老いぬ 福地 靖
ゆで玉子多きサラダや春浅し 渡辺優子(特別作品)
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