『雲の領分』は鎌倉佐弓(1953 - )の第6句集に相当する未完句集。2011年から2016年までの253句を収める。『鎌倉佐弓全句集』に収録。
ゾウは空を踏むそののち大地踏む
葦原のそこからは雲の領分
黄菊白菊枯れながら見る夢いかに
太陽を育ててイグアノドン滅ぶ
どんぐり一つ天使のおしゃべりに混じる
国境を入れてワインは透明に
「指って何」地中でヘビは考える
サフランはギリシアに無数われに一つ
子猫とリボン遊んでいるのはどっち
「春だ」叫んで大地は口を閉じた
萩こぼる誰にも声をかけぬまま
泥楽しいね鶴の脚かわるがわる
カーテンふわり春の雲入ったかしら
「散るよ」花びらの表が裏に告げる
その鏡いつより春に背を向けし
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