『当為』は伊丹三樹彦(1920 - )の第26句集。
作者は「青群」顧問。
夢に現(うつつ)に「お父さん」との声高妻
妻の涙を 涎を掬う これが終(つい)か
木枯鳴る 霊安室の骸は 妻
机上春塵 稿債 積読(つんどく) 嵩成すまま
大欅は日まみれ 夜は星まみれ
樹々芽ぐむ国です 曾孫跳ね回り
骸蝉踏むまじ 散りし供花踏むまじ
とまれGパン 卒寿半ばの更衣
友逝きし旧居の前過ぐ かたばみ咲く
それと知る咽喉(のんど)の渇き 彼岸花
振り返れば 子も振返る 七五三
向日葵にさえ立ちくらみ 生身魂
茹で卵 コツンと割っての 世界ニュース
女医曰く「昭九でなく大九生れとは」
倚るは円柱 想いは奈良へ アテネへと
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