『夢洗ひ』は恩田侑布子(1956 - )の第4句集。2008年夏から2016年春までの297句を収録。
作者は「豈」同人、「樸(あらき)」代表。
南無といふそのあとはなし冬日向
冬濤のくずほるるとき抱く碧(みどり)
ゆきゆきてなほ体内や雪女
くろかみのうねりをひろふかるたかな
春陰の金閣にある細柱
たをやかに湯舟に待てり菖蒲の刃
ころがりし桃の中から東歌
ゆふ空を客人(まらうど)にして糸櫻
落石のみな途中なり秋の富士
長城に白シャツを上げ授乳せり
椿落つ鏡の中にもう一人
瞑りても渦なすものを薔薇とよぶ
死ぬるまで黙す障子の縦と横
柱なき原子炉建国記念の日
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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