『夢想の大地におがたまの花が降る』は四ッ谷龍(1958 - )の第4句集(『セレクション俳人22・四ッ谷龍集』を含めた勘定)。2008年10月以降の547句を収録。
作者は個人誌「むしめがね」編集発行人。
オルゴール鏡に苦き光(かげ)こもる
書の海の底方に眠る春の人
団子虫散った土から浮き出る唇
いわき市は深い卵として暮れる
台風がアンモナイトの上に来る
「トースターで焼かれたような」詩が愛撫から生まれ
プレート・テクトニクス男同士の腕からまる
鈴緒引く友等の声は菊めきて
白梅(しらうめ)がみな甲虫(こうちゆう)に見える夕
鬼罌粟の花と墜ちゆく聾いて
魂の底に斜めの提灯あり
万両や墓ぼそぼそと息をして
雀の顔の黒いところも梅雨明けぬ
百枚の鏡が病めりおがたま咲く
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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