『ひかり秘めたる』は川原真理子(1958 - )の第1句集。序文:中原道夫。
著者は「銀化」同人。
渦の中ひかり秘めたる蝸牛
燃ゆる身をしづむるに足る泉なりや
水温む死者は洗濯物出さず
人は白息電車は人を吐きにけり
大人ほどうれしくはなき七五三
諍ひて鉛のやうな春ショール
しどけなく長き蛇には永き夢
幾人かぶら下がりゆく秋神輿
水平線傾けて飛ぶ初御空
蛤の鍋にかそけきかひやぐら
桃よりも傷つきやすきをとこたち
ご両家の渾身の嘘菊日和
炬燵とふ飼ひ馴らされし火の裔よ
冬麗の象の子の目の無表情
菖蒲湯を立てて老母を遊ばせる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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