『ふな釣り』は大崎紀夫(1940 - )の第8句集。
作者は「俳句朝日」「短歌朝日」元編集長。「WEP俳句通信」編集長。結社誌「やぶれ傘」創刊主宰。
二日暮る空のはづれの雲くろく
坐布団をずらせばふはと榾埃
春野ひろびろ握り飯くひにけり
海市より機甲師団とおぼしきが
守宮の子雨戸繰るときこぼれけり
ががんぼが窓かきむしり港に灯
ひまはりやトタン葺きにてトタン塀
葛の花砂地の道は海へゆき
ひたひたと道を犬くる野紺菊
葱を抜く電線に日はかかりゐて
人かげはおぼろの道を曲がりゆく
日のなかの切株に蝶とまりけり
釣り竿で水母つついてゐて暮るる
蝉穴に小枝をさしてみたりして
秋風や魚は白眼して干され
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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