『ヤツとオレ』は坪内稔典(19446 - )の第12句集。
坪内稔典は「船団の会」会員。
雪になるハシビロコウのいる夕べ
ウミウシに近づきすぎか夏の姉
首都にいるカナリア何羽?春の雪
だれそれに浮沈があって夏のカバ
熊楠はすてきにくどい雲は秋
海という少女に会った鳥羽の秋
窓にいる黒猫冬の水平線
大野さんになりたい日だな風光る
鮫食べる村の青葉のゆさゆさと
夢殿へ行く日バッタによく出会う
老人へペンギンが来る雲は秋
この葡萄プラトン以来のうすみどり
鳥籠は空っぽ正月の老人も
戦争のない七十年あっ、なずな
夏めいて蛸めいてヤツそしてオレ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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