2015年
書肆侃侃房
『Bootleg』は土岐友浩(1982 - )の第1歌集。
土岐友浩は同人誌「町」を経てその解散後、同人誌「一角」を個人発行。
そのひとは五月生まれで「了解」を「りょ」と略したメールをくれる
おのずから輝くゆえに影のない黄金の樹の真下に僕は
牛乳を電子レンジであたためてこれからもつきあってください
僕の手を離れて水になっている母を亡くした春の記憶は
入れておいたバケツのなかをゆっくりとゆっくりとウニはのぼって逃げた
八月の僕だけがいる教室の机のかどではじけたひかり
生まれ変われるというのは嘘だからてんとう虫をあなたに渡す
乗客は乗り込んだのに雨の日のドアをしばらく開けているバス
台形にととのえられた水田がかぼそく電柱をうつしとる
こうやって座っていても草上の午餐を僕が知ることはない
予報では雨がもうすぐ降るという青いシートのある田んぼ道
ため息を眺めていたら指差したゆびが消えたら春の花々
ほの白く月のひかりがさしている川原に虫の声真似をする
狼が、僕がそのとき訪れる世界一大きなレストラン
粉雪が落ちてくる夜、よく撮れた月の写真を見せてもらった
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
william forsythe - dancer Thomas McManus
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前は必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。