2015年
書肆未定
『四獸門』は高原耕治の第2句集。第1句集『虚神』以降15年ほどの作品を収める。
高原耕治は第2次「未定」の編集発行を務める。「書肆未定」の連絡先は著者の住所に同じ。
卍なす
星雲
腦髄の
物質陣は崩れゐて
＊
人面(ひとづら)を
血祭にせよ
死霊どもえの
虚空擾乱
＊
牡丹雪の
赤・黄・黒・白・青・紫
しばし觀られ
死す
＊
真空艦隊
つひに見ゆ
うねりて白き
念誦の沖
＊
瞬く
天命
枕が
薔薇でありすぎる
＊
永劫か
非在か
唐草文を
きはむる激闘
＊
龜裂づくしの
玉の上下に玉
玉の左右に玉
＊
また 行きずりの
夢魔と
淋しい
階段あそび
＊
この道が
死んで觀てゐる
雲に鳥
＊
小鳥は生まれ
すぐ死ぬ
瞼をひらく
泪の木
＊
あれは 地球
いんたあねつとの
眞葛原だよ
母さん
＊
船靈いづこ
龍骨
いまは
藪の中
＊
火は放たれき
内耳の
太古の
密林に
＊
いつか目見えむ
絢爛と
天に淵なす
白菖蒲
＊
一瞬 目玉の
しやぼん玉が
視る
無帽の 永劫
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
Galina Ustvolskaya - Composition No.3
コメント