2009年
深夜叢書社
『風音』は清水喜美子(1923 - )の句集。先に句文集『末黒の大地』があるらしいが、句集としてはこれが最初か。
清水喜美子は「海程」同人。
句集の序文・跋は金子兜太、寺井谷子、田中亜美、齋藤愼爾。
単線電車蝙蝠を飼う男
経典に今日の私は蟇
ちちははが骨寄せあえる秋の暮
秋の暮ピアノがつつむ山の襞
冬青空うすき影より足二本
こがらしのひとりの部屋に足を組む
花の谿白き奔流のごと加齢
天才の婆になりたし春一番
爽やかやベートーヴェンが農家より
夜がそこにきて生きもののように月
枯蓮の濁(だく)の汀(みぎわ)に母在す
しゃぼん玉身のおきどころなきキリン
光あらば霊魂あらば汝(な)は秋風
亡夫の身じろぎ銀木犀に光る雨
牡蠣棚をみしりみしりと夜が行く
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MARTHA AGERICH - Beethoven Piano Concerto no. 2 in B flat major ~ Dario Ntaca
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