2014年
角川学芸出版
『八十八夜』は猪俣千代子(1919 - 2014)の92歳での第6句集(刊行後、12月8日に逝去)。
著者は「寒雷」「杉」同人。『自解100句選 猪俣千代子集』等がある。
雪崩音夢を破りてあまりある
吃音のふつきれし蝉鳴きにけり
朧にて崩るるものを濤とのみ
かまくらの中の蠟燭明りかな
関東平野雷がなめしてゆきにけり
蘇生せし思ひに瀧を離れ来し
吹流し風出て家紋はつきりす
藪であるかぎり揉まるる青嵐
白梟頸回さねば白づくめ
そのかみの士分の父の墓洗ふ
紙を梳く水のおもたさ掬ひては
唐招提寺
鑑真忌修す畳を膝行し
こんなにも華奢な出来栄え目白の巣
ひとりでに籾殻焼けてゆくらしき
フィギュアスケート重心は今渦の中
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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「日本の旅」日映科学映画製作所1962年製作
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