2014年
ふらんす堂
水岩瞳は「古志」同人。この『薔薇模様』が第1句集。2006年から2014年の句を収録。
跋文を長谷川櫂でも大谷弘至でもなく、池田澄子が書いている。その跋文によると、水岩瞳の父は戦争中、ルソン島のジャングルを逃げまどい、沢山の兵、フィリピンの人々、台湾兵を犠牲にしたことを心から悔い、戦後、フィリピンに学校を建て、一時期そこに住んでいたという。一方、池田澄子も父が戦病死を強いられ、戦争に関する句が多い。面識のないまま、作品を見て水岩が依頼し、池田が応えたということらしい。
咲き満ちてうす緑なり手毬花
麒麟から見れば吾も猿木の芽風
おかへりと机にひとつラ・フランス
火だるまの流灯ひとつ急ぎけり
春の雨よりも静かにキーを打つ
グスタフ・クリムト作「人生は戦いなり」
黄金の騎士ゐて冬の美術館
荒梅雨やみちのく降るな此処に降れ
何故なのか今も問ふべし敗戦忌
署名する「さよなら原発」秋暑し
どろどろのマグマの上のかたき冬
レトルトの春の七草確と食ぶ
避暑楽しサラダにバルサミコ酢振り
花虻に生まれ潜りぬ花宇宙
ソーダ水春樹嫌ひと言ふ人と
※村上春樹の小説
ブラック企業
理不尽なことはメモせよ卒業子
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Beethoven Missa solemnis NDR Sinfonieorchester John Eliot Gardiner
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