2014年
角川学芸出版
8月に出た『宇多喜代子俳句集成』は逆編年順の構成。その最初に「円心」が収録されている。
《『記憶』以後、平成二十三年(二〇一一)年から二十六年までの一六八句を収録。単行句集としては未刊行だが、本集成に収め、第七句集とする。》
以下はその「円心」から(小題等は省略)。
人攫う野に点々と夏の草
帰らざるあまたあまたや鳰の巣も
黒鯛に黒々と目の二つきり
夏夕焼授乳の母を円心に
石上に置く透明な夏帽子
難題ありクラインの壺と秋の風
秋半ば水の無臭を掌に移す
なにもかも茣蓙に売らるる春祭
風のユーラシア月下のユーラトム
辻に立つだけでその気に阿波踊
月光は直線のまま水中へ
手毬唄戦のことも唄いこむ
花見茣蓙誰も坐らぬまま湿る
いつの世の棄民か棄牛か斑雪
列島の反りをなだめて山桜
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Jan Lisiecki - Schumann - Piano Concerto in A minor, Op 54
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