今月は後半から(珍しく)多忙と微熱続きで何も読めなくなった。なにかの花粉症らしい。
眉村卓『歳月パラパラ』は、東京堂書店で自筆イラスト&サイン本が入手できた(俳誌「渦」に連載されているものそのままかと思ったら、大部分書下ろしだったらしい)。ついでに先日、世田谷文学館の「日本SF展」最終日にも行ってこられた。
クロード・シモン『アカシア』はひさびさに新装復刊されるので図書館にリクエストしたら、購入ではなく他館協力の貸し出しになってしまい、画像もやや傷んだものになっている。
なお、宮沢春花『熊子のラッパ』、岡井隆『新輯 けさのことばⅣ』は著者から寄贈を受けたもの。記して感謝します。
東海林さだお『さらば東京タワー』文藝春秋・2012年
《「オール讀物」連載「男の分別学」シリーズ単行本。零落の東京タワーを訪問して慰問する「さらば、東京タワー」、「相田みつを研究」では、何だかわからないのだか何かがあるような気がする、と研究の成果を見せ、ひたすら缶詰商品で酒宴を楽しむ「缶詰フルコースの宴」など、ショージ節が冴え渡るエッセイ集。》
浅井祥仁『ヒッグス粒子の謎』祥伝社新書・2012年
《ヒッグス粒子は、真空中に充満し、物質に質量を与え、この宇宙を誕生させたとされ、「神の素粒子」とも呼ばれる。ヒッグス粒子とは、そもそもどのようなものか、そしてこの発見が物理学にとってどのような意味を持つのか?素粒子物理学に馴染みのない読者にもわかるよう解説する。》(「BOOK」データベースより)
福岡伸一『動的平衡 ダイアローグ』木楽舎・2014年
《動的平衡は、古くて新しい世界観であり、機械論的・因果律的な世界観に対するアンチテーゼ、あるいはアンチドート(解毒剤)としてある。この考えに共鳴してくれた人たちとともに、世界の過去・現在・未来を動的平衡の視点から論じ合った記録。》(「BOOK」データベースより)
アブドゥラマン・アリ・ワベリ『バルバラ』水声社・2014年
《植民地時代の悪弊、帝国列強の支配、氏族独裁主義の迷妄と内紛…死ぬ前に証言をする、消滅をする前に書く。“生の独立”を求める若者の抵抗の声が、血塗られたジブチの地を響動(どよも)す。》(「BOOK」データベースより)
宮沢春花『熊子のラッパ』邑書林・2012年
《貧しかった でも豊かだった あの時代を伝えたい
お爺ちゃん、お婆ちゃんからお孫さんへの大切な贈り物
昭和20年代の信州佐久、
豊かな自然の中でたくましく育つ 子どもたちを主人公に、
ちょっとしょっぱいお話28話
<第26回家の光童話賞佳作入選作品特別収録>》
岡井隆『新輯 けさのことばⅣ』砂子屋書房・2013年
《中日新聞に掲載された「けさのことば」の2010年~2012年分を収録。》
志茂田景樹『鬼火島伝説』角川文庫・1984年
《相沢の妻、真奈子は、伊豆の岬からヨットで船出したまま行方を断った。子供を交通事故で失ってから、妻が憑かれたように呟いていた「鞠が跳ぶ、海の上を…」という言葉が、相沢の耳をはなれなかった。
相沢は妻が八丈小島へ向ったことを知り、酒場で知りあった無頼のヨット乗りとともに海に出た。だが嵐の一夜が明けてみると、彼らは不思議な潮流に運ばれ、アホウドリの棲む絶海の孤島に漂着していた。そこで目撃したのはまったく奇怪な光景だった――
亜熱帯のジャングルで蹴鞠に興ずる鬼面の男たちの正体は? 古代から現代へ、蹴鞠が伝える闇の歴史とは? 魔性の島の伝説を活写する本格伝奇ミステリー。》
志茂田景樹『日本水軍伝説』角川文庫・1987年
《二等航海士の谷は、死んだ船乗り仲間の頼みをうけて、新宿のあるクラブを訪ねた。リチャードという男に“赤い船から来た”と言えばいいというのだ。
谷は知らなかったが、赤い船とは天保年間、巨額の清朝秘宝を乗せたまま消えた、密輸北前船のことだった。船は櫨を赤く塗ってあった…。
伝説として残る“赤い船”とは何をさすのか? 莫大な秘宝は今も眠りつづけているのか? その謎を追いはじめたとき谷は、遠く海人族の血を引く日本水軍の末裔たちの集団が、歴史の暗部で繰りひろげてきた抗争に足を踏み入れていたのだった。》
和合亮一『詩の礫』徳間書店・2011年
《ツイッターで放つ言葉の力、福島在住詩人の咆哮。3月16日午前4時23分の被災後最初の詩作から、5月25日の決着まで、「詩の礫」全文掲載―。》(「BOOK」データベースより)
海野弘『都市風景の発見―日本のアヴァンギャルド芸術 海野弘コレクション2』右文書院;新版・2006年
《見る人・海野弘の真骨頂、都市のアンダーワールドへ。清水登之・村山知義・藤牧義夫…「都市風景」の表現者たちのポートレートなど、日本の「一九二、三〇年代」美術を論じる名著の復活。》(「BOOK」データベースより)
大栗博司『強い力と弱い力―ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く』幻冬舎新書・2013年
《宇宙には「四つの力」が働いている。私たちを地球につなぎとめる「重力」と電気や磁石の力である「電磁気力」は古くから知られていた。二十世紀に入り「強い力」と「弱い力」が発見され、この新しい力を説明するために考え出されたのがヒッグス粒子だ。その発見により、人類が叡智を傾けて築き上げてきた理論の、最後のピースが埋まった。それは、ヒッグス粒子の魔法によって覆い隠された、自然界の美しい法則を明らかにする営みでもあった。やさしくロマンあふれる語り口で宇宙創成の謎に迫る、知的冒険の書。》(「BOOK」データベースより)
リチャード・フォーティ『〈生きた化石〉生命40億年史』筑摩選書・2014年
《地球上の生命は、40億年の歴史において五度の大量絶滅危機に見舞われた。大陸移動、隕石衝突に全球凍結、90%もの種が死に絶えた環境の激変をものともせず、太古の昔から姿も変えずいまなお生き残っている生物がいる!いったい彼らはいかにして生き延びたのか。絶滅する者と生き残った者、何がその運命を分けたのか。彼らが伝える古代の地球の姿とは―。「生きた化石」と呼ばれる彼らの驚異の進化・生存戦略から生命40億年の歴史をいきいきと蘇らせる。》(「BOOK」データベースより)
中村研一『サヴォワ邸/ル・コルビュジエ』東京書籍・2008年
《最大の巨匠ル・コルビュジエが到達した20世紀最高の住宅。施主からの細かな条件、オーヴァーしたコスト、度重なる設計案の変更など、建築家と施主とのギリギリのやり取りを現在の視点から読み解いていく。図面・模型写真も充実。家づくりの参考、設計・製図のテキストとしても最適。》(「BOOK」データベースより)
レイ・ブラッドベリ『万華鏡』サンリオSF文庫・1978年
《航行中の宇宙船が、事故で破裂した。乗組員たちは、宇宙空間に投げだされ、離ればなれに漂流しはじめた。やがてやってくる緩慢な死。それも確実にやってくる死に向かって遠ざかっていく。それぞれの人生が終わろうとするとき、心残りな思いが、まるで万華鏡のように頭の中を駆けめぐる。そして「流星の中に入った、きらきらして万華鏡の中にいるみたいだ、さようなら」といった通信もかわされる。表題作をぱじめ23篇の珠玉の短篇を収録した本書は、SFの抒情詩人レイ・ブラッドベリの不思議に美しい恐怖の世界が、いま、ここで満開となっている。》
収録作品=アンリ・マチスのポーカー・チップの目/草原/歓迎と別離/メランコリイの妙薬/鉢の底の果物/イラ/小ねずみ夫婦/小さな殺人者/国歌短距離ランナー/すると岩が叫んだ/見えない少年/夜の邂逅/狐と森/骨/たんぽぽのお酒(イルミネイション/たんぽぽのお酒/石像/夢みるための緑のお酒)/万華鏡/日と影/刺青の男/霧笛/こびと/熱にうかされて/すばらしき白服/優しく雨ぞ降りしきる
リチャード・カウパー『大洪水伝説』サンリオSF文庫・1980年
《西暦3018年。ブリテン島は打ちつづく大洪水で海中に没し、七つの島の王国に切り離されていた。 2999年、天子トーマス少年が教会権力の手にかかって惨殺された。それ以来、神国出現と白い鳥到来の神話が敬虔なキン族の秘かな支持を得て燎原の火のように全国に広がっていった。とくに語り部ピーターと教会の軍隊にいて天子を殺害したのち脱走したガイアに煽動されて。 3018年、黒い司祭コンスタンは教会の支柱をゆるがす恐れありとして、キン族の教義を異端視して全国に追放会を公布した。ガイアは天子の行状記を欧州大陸のコーレイに届けるよう賢者トーマスを出発させたが、被には追手が追っていた。
一方、1986年、いつもの意識浮遊実験の最中に被験者が病院で意識を回復しようとしないのだ。幽体離脱体験に突入したらしい。未来のどこかである種の接触をしているらしい映像がビデオに記録されていた。そして、やがて各地に洪水の兆候が……》
東浩紀『弱いつながり―検索ワードを探す旅』幻冬舎・2014年
《統制されたネット時代に「かけがえのない生き方」はいかに可能か?著者初の挑発的人生論。》(「BOOK」データベースより)
ゴア・ヴィダル『マイロン』サンリオSF文庫・1981年
《さて1968年。デンマークで男根を切除して女性に変身したマイロンの前身マイラは蝶き逃げに遭い、ドクター・メンガーズの手でまたもや男性に復帰させられてしまう。
さて1973年。ロサンゼルス郊外で中華料理の仕出し屋を営むマイロンが、深夜テレビで『バビロンのセイレン』を見ているうちに1948年の灼熱の太陽の下、バビロンの衣裳をつけたエキストラや撮影技師が右往左往するMGMのオープンセットに放りだされる。
さて、このマイロンとマイラは一個の肉体をめぐつて男VS.女、ソドムVS.レスボス、アメリカの正義と愛国VS.人口削減を企ててすべての男根を切除して性転換を進める……その交互に支配権を奪ってめまぐるしく語り手が交替する。この誇張と嘲笑と諷刺でデコボコしたポルノグラフィックな大人の童話、騒々しい鎮魂歌――もう蛇足を重ねるのはやめよう。いい言葉がある。いわくキャンプ・ファンタジーの絢爛たる世界を堪能されたい。》
レイ・ブラッドベリ『ブラッドベリは歌う』サンリオSF文庫・1984年
《母を失った子供たちの前に、養育係兼料理人として現われた、電子お祖母さんの活躍を描いて心暖まる佳編「吾は唄う、この身の充電するまで!」、ヘミングウェイヘの痛切きわまる愛着を奏でる「キリマンジャロ機」、1929年のイリノイ州グリーンタウンに突如現われたチャールズ・ディケンズを名乗る男と少年との奇妙な友情を描く「ニックルバイの友達なら誰でもわたしの友達だ」、ペーソスと諧謔に溢れたユーモア短編「お屋敷、猛火に包まれなば」「冷たい風、暖かな風」。
詩編「クリストゥス・アポロ」を加え、1948年から1969年にかけて書かれた18編を収録した、巨匠ブラッドベリ最新の傑作短編集。》
収録作品=キリマンジャロ機/お屋敷、猛火に包まれなば/明日の子供/女ども/霊感チキン・モーテル/ゲティスバーグの風下で/吾らは川辺に集うらん/冷たい風、暖かな風/交換台経由の夜間超長距離電話/新しいものに取り憑いた/吾は唄う、この身の充電するまで!/墓移しの日/ニックルバイの友達なら誰でもわたしの友達だ/強力君/ロールシャッハ・シャツの男/ヘンリー九世/失われた火星の都/クリストゥス・アポロ
佐野洋『空が揺れる日』新潮文庫・1983年
《飛行機事故が起きる! 札幌の警察署に奇妙な予言があった翌日、札幌―東京使の乗客が事故の集団幻覚を兄た。新聞記者の川地は、アパートの大家の若い未亡人と恋人がその使に乗り合せたことから、同僚の金久保とともに調査を始める。が、彼らの前に事件を調査していた女子大生、予aをした市会議員が相次いで殺され、さらに大学教授殺しまで絡んで謎は深まっていく……。》
城山三郎『臨3311に乗れ』集英社文庫・1980年
《戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界に切り込んでいった男の集団。幾多の試練を持前の精神力と不可能を可能にする不撓不屈のバイタリティで克服し、ついに日本有数の旅行業社にまで発展させた男の野望と情熱を活写する実録企業小説。
解説・尾崎秀樹》
ロバート・ジェラテリー『ヒトラーを支持したドイツ国民』みすず書房・2008年
《「同意」したことと「強制」されたこと。ゲシュタポ調書と当時の新聞雑誌から、国民の積極的な協力をたんねんに実証する「国民の責任」論の決定版。ドイツ政府が独語訳の廉価版を作製・配布。》(「BOOK」データベースより)
立木康介『露出せよ、と現代文明は言う―「心の闇」の喪失と精神分析』河出書房新社・2013年
《凶悪犯罪のたびにメディアで語られてきた「心の闇」。しかし現代の犯罪者は、ほんとうに「心の闇」をもっているのだろうか。むしろ彼らの心に「闇」がないことが問題なのではないか。私たちの心から「闇」が失われつつある。それこそが、現代の危機、心の危機をもたらしているとしたら?ラカン派の俊英が問う衝撃の評論。》(「BOOK」データベースより)
眉村卓『歳月パラパラ』出版芸術社・2014年
《今年、傘寿を迎える著者のショートエッセイ集。
<目 次>
子(ね) 雄弁は金/禁 煙/昔感嘆・今?/地球の英雄/まあもう少し
丑(うし) 日暮れ/目玉カレー/理系とか文系とか/諦めのアイデア/電車乗り
寅(とら) 優先席/「しまい込み」の結果 /日記帳と手帳/母 校/店閉じ人
卯(う) 呼びりん/S/他人の死/「作品リスト」というノート
辰(たつ) ワタナベー/昼 前/勤め先と自分/ヨータイ話 入社試験と赴任
巳(み) 溜まるもの/十年め/大 声/宇治電ビル時代
午(うま) 階段の高さ/バッグにぶら下げて……/文才の有無/社宅入りと「宇宙塵」の勧誘
未(ひつじ) 父の作り話/子供のせりふ/「燃える傾斜」を書いた頃
申(さる) イケメン/姫路の駅そば/昔大阪入り
酉(とり) 落下恐怖症/喫茶店で書いた日々/書いたカフェ
戌(いぬ) 物語の主人公の気分/半村良さん/福島正実さんのこと
亥(い) 体重・体力/病み上がりの首/「木更津」のことなど/自己客観性社会の憂鬱 》
クロード・シモン『アカシア』白水社・1995年
《精緻きわまりない究極の「私小説」は、父の遺骨探しの旅から始まる。過去・現在・未来が相互嵌入式に複雑に重なり合いながら言語は歴史をはらみ、アカシアの葉がそよぐとき、小説が生まれる。本書は、作家としての自分の「起源」にさかのぼる、クロード・シモン版『感情教育』。》(「BOOK」データベースより)
柄谷行人『帝国の構造―中心・周辺・亜周辺』青土社・2014年
《『世界史の構造』(2010)以後、著者が取り組んできたのは、まずギリシアにかんして「哲学の起源」を論じることであり、つぎに取り組まれたのが、帝国、帝国の周辺と亜周辺という問題だった。資本=ネーション=国家の世界のもと、私たちが構想しえる未来とはいかなるものであり、世界共和国への可能性とはどこにあるのか。雑誌『現代思想』での連載「中国で読む『世界史の構造』」を全面的に改稿。》
フリオ・コルタサル『八面体』水声社・2014年
《日常のなかに突如として闖入してくる“鮮烈な夢のイメージ”を作品へと昇華させるフリオ・コルタサル。実験的な語りの手法を用いて“自分の最も奥深い部分”を表現し、幻想と日常の交錯を多面的に描き出した傑作短編8つを収録。付録として白昼夢を見ているかのような3つの短編(『最終ラウンド』)に加えて、実践的な短編小説論(『短編小説とその周辺』)も併録。》(「BOOK」データベースより)
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世田谷文学館 日本SF展 ★SFの国
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「大伴昌司の仕事」 世田谷文学館 日本SF展 ★SFの国
「日本沈没」の原稿や資料など 世田谷文学館 日本SF展 ★SFの国
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