2013年
コールサック社
言わずと知れた2011年、震災の年に「ふくしま」50句で角川俳句賞を受賞した永瀬十悟(1953 - )の第1句集。
著者は「桔槹」同人。
この永瀬氏も先述のいわきツアーにこの程初参加していて、そこで初対面を果たした。
戻らない子猫よ放射線降る夜
鳥雲にフクシマテマタアイマセウ
牛虻よ牛の泪を知つてゐるか
泣き出せば押し寄せて来る夏の山
灯台は道の終点海桐(とべら)の実
松明あかし地と海と空壊れても
古草や五感の外の放射線
彗星の尾が白梅の中とほる
野遊びに連れ出す茅舎句集かな
牡丹に入りたる虫のそれつきり
夏料理木漏れ日の中運ばるる
蛇咥へ来て馬鹿猫と呼ばれけり
蟻穴を出る能面の顔をして
電柱の影伸びてゐる冬菜畑
白障子笑ひこらへてゐるふたり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Grieg: String Quartet No. 1 in G minor
コメント
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