2004年
角川書店
『点睛』は山崎祐子(1956 - )の10年前の第1句集で、俳人協会新人賞受賞作。
著者は「風」(2002年終刊)を経て「万象」「栴檀」同人。民俗学者。
この山崎さんは、東日本大震災の被災地いわき市の復興支援団体「プロジェクト傳」のメンバーで、私もそこのイベントに参加して、特に縁もなかったいわき市を何度も訪ねているのだが、去る8月23~24日にもツアーがあって、その折、山崎さんの家の蔵から、とうに品切れになっていると思っていたというこの句集が2箱ばかり出てきた。入手し損なった人は山崎さんに問い合わせれば直接購入できるのではないか。
ずぶ濡れの少年佇てり春の海
洋梨を煮てガムランを聴きにゆく
軍服の子が牛洗ふ二日かな (ミャンマー シャン州 旧正月)
爆撃の穴あきし野を焼きにけり (ラオス 二句)
大津絵のなまづの暑中見舞かな
夏寒しじやんがらの鉦打ち続け (いわき市 じやんがら念仏)
砂糖かけ盆供の団子父と食ぶ
薬莢の囲みし稲の熟れにけり (ナパーム弾)
新米を少年僧に捧げたる (ラオス 七句)
馬冷す隣に少女髪梳けり (モンゴル 十一句)
初霜やけものの糞が吊橋に
極月や土蔵に猿の頭蓋骨 (角館)
国境に塩のこぼるる淑気かな (ネパール、タライ平原 八句)
羊追ひ国境を越ゆ雲の峰 (クンジェラブ峠、四九四三メートル)
三伏やうはばみ草を味噌汁に (静岡県井川)
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
福島県いわき市 じゃんがら念仏踊り
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前は必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。