2014年
銅林社
2012年7月から2014年5月までの360句(または1ページ2句180篇)を収録した第7句集。
全ページ2句1組で、《本が閉ぢられてゐるあひだ、二句は一句の重ね合せ状態でegoはまだ分裂してゐない。本を開く瞬間、この朦朧とした一句は分裂する。見ることが、一句を二句に複數化する。》(解題)
家中が寢床にいたる月の道
試着室のカーテンを突く鯨かな
皿洗ふもののけを見るとしの暮
裏側へ吾(あ)をふりおとす夏芝居
短日や俳聖の座に魔法瓶
ラルフ・ローレン少年に春勃たしめる
用を足す雲雀を天に固定して
ふらここや十秒まへが懐かしき
黒猫を二匹に岐(わ)ける芒かな
天井に靴跡のある夜長かな
鐵の輪の轉がりくるや暮の秋
固いもの置いて立去る琴座かな
凍蝶のダイヤモンドと碎けちる
プレパラートの少年界も良夜かな
われもゐて銀河のはての花の晝
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Cassadó Suite for Cello Solo - Anna Litvinenko
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