2014年
角川学芸出版
矢野景一(1950 - )の第3句集。
著者は森澄雄に師事。「杉」の同人幹事長。
2007年から2013年までの句を収録。
この間、森澄雄、藤本安騎生をはじめ、多くの死別を経たというが、喪失感の表現も不思議なうるおいに満ちた優しいものになっている。
おぼろてふ大きな壺のうつろにゐ
眼鏡はづせばこの世がやさし柿若葉
蓮如忌の紐くたびれてありにけり
花一片人の頭に乗り大阪へ
薊まだ地這ひのかたち城下町
さうめん流る一休禅寺前の溝
入歯さへ暑しと言ひし人の忌ぞ
雲の味知つてゐさうにかたつむり
岳父
生くるすべ忘れたる父赤のまま
絶筆はパソコンの中置炬燵
切干やほとびなば母のやさしさに
湯豆腐の冷めしごとくに死はありぬ
花菜漬行つてみたきはぽるとがる
ぜんまいをリュックに大日如来まで
さよならに順序なき世の桜かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Dvorak - Cello concerto in B min, Miklós Perényi
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