清水かおり、畑美樹、兵頭全郎、吉澤久良の4人の同人からなる川柳誌「Leaf」Vol.4が出た(年2回の発行)。
今号の特集は「セレクション俳人プラス 超新撰21を読む」で、同人4氏が『超新撰21』を鑑賞している。
あとがきの手前に《Leafの販売ポリシー》という一文があり、《「Leaf」は基本的に販売するという形にしたいと考えています》と宣言されている。
理由として挙げられているのは2点。
ひとつは、「販売」ではなく「配布」の差から出てくる書く方、読む方の緩みや妥協を排除したいということ。
もうひとつは、読者との交感、双方向性の観点から柳誌の運営はどうあるべきかを模索したいということ。
後者の「読者との交感」についてはネット上に掲示板も設置されている。
小説や自由詩はいうに及ばず短歌・俳句に比べても、作品は「作るもの」であって、「読むもの」としては扱われにくい(らしい)川柳界からの意欲的な試みのひとつとして本誌はある。
同人各氏の作品欄のあとにそれぞれ他の同人から見開き2頁の互評が付き(兵頭全郎作品のみ付いていない)、さらに吉澤久良、畑美樹、清水かおりによる全体評も付く。前号批評ではなく、作品とその評が同じ号に並んで載っている。
相互の読み合いから成り立つ雑誌なのでやや息苦しさを感じないでもないが、現代川柳をどう楽しんで(読んで)いいかわからないという読者にとっては手引きとなる。
文芸ジャンルとして認知されるのに必要な総合誌と文学賞という制度的土台の両方を川柳は持っていない。その総合誌と文学賞も現在どれだけシーンを反映しているかに疑問がつくために、例えば俳句では幾つものウェブマガジンが出来るといった事態になっているのだろう。前提条件の違う川柳においてはまた別の難しさがありそうだが、個別作品の鑑賞・読解もともかく、構図を提示する批評はいずれにせよ必須と思われる。
以下は作品から(鑑賞はあえてつけない)。
剃刀は花冷えの単性生殖 吉澤久良
万歳の行列とゆく天ぷら屋 畑美樹
太陽の眼部を書くと遅れる身体 清水かおり
USBポートに刺さる伝説の剣 兵頭全郎
無線LAN昔話が行ったり来たり
(兵頭全郎の作品のみ2句1組の10組計20句)
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