「翔臨」(竹中宏主宰)第71号から。
散文では「わたしにとって「有季定型」とは」シリーズや、青木亮人「批評家たちの「写生」」などの連載のほか、竹中宏の過去の写生論をさらった、すずきみのる「竹中宏の「写生」について」が掲載されている。
ほめ殺すはがきもまぎれ小鳥来る 竹中 宏
さしづめインテリそのさしづめの木呪(きまじな)ひ
忠魂と以外彫らざる林檎の芯
2句目の「木呪ひ」は「成り木責め」に同じ。
買初めの駄菓子の色の貧しくて 海老禮子
この作者は竹中宏に「しずかな充実を感じさせる」とされ、「且翔且臨」欄にこの句が取り上げられた。
鯉幟巨き目玉が横目にて 中田 剛
古本に問ひの落書養花天 小林千史
ぬらりくらりと左義長の焔の先 中村紅絲
砥石つかふに森青蛙の卵あり 小山森生
流氷を食べた者皆ひかりごけ 小笠原信
これは人肉食を扱った武田泰淳の短篇「ひかりごけ」を踏まえた句か。
みちのくへ行くメール群梅若忌 八島惠理
抑えの利いた震災詠。梅若丸は能「隅田川」で知られる非業・夭折の死者。
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