ツイッターでフォローしあっている書店員の女性が年末恒例の行事とのことで、2010年版「好きな作家ベスト100」というのをブログに上げた。ツイッター上での『新撰21』読書会にも常連として参加してくれている人である。
私も真似してやってみることにした。
毎年更新されるものらしいので、不動の愛読作家ベスト100ということではなく、選考基準としては最近よく読んでいる、または来年もう少し読みたいと2010年年末の時点で思っている作家を上位に上げた。よって冊数としてはさして読んでいない作家が上位に食い込んでいる場合もあるし、全集を読破してしまった作家が下位に位置している場合もある(一冊も通読したことのない作家はさすがに抜いてある)。オールタイムで好きな作家を配列していったらまた全然別な順序になるが、いずれにせよ個人的な偏愛や興味の度合い(好き嫌い)が優先であって、批評的な普遍性(良い悪い)はあまり省みていない。前者を後者に合わせていくのが自己教育というものなのかもしれないが。
今回はとりあえず小説を発表したことのある書き手に対象を限った。
順位は上位20人と下位20人を比べたら一応有意な差はあろうという程度のもので、さして厳密ではない。
001.クロード・シモン
002.眉村卓
003.ミゲル・アンヘル・アストゥリアス
004.大江健三郎
005.エルネスト・サバト
006.森敦
007.フィリップ・K・ディック
008.ホセ・ドノソ
009.古井由吉
010.小島信夫
011.エリアス・カネッティ
012.サミュエル・ベケット
013.坂口安吾
014.J・G・バラード
015.後藤明生
016.夢野久作
017.ルイ=フェルディナン・セリーヌ
018.ジェイムズ・ジョイス
019.フリオ・コルタサル
020.武田泰淳
021.ジョリス=カルル・ユイスマンス
022.ウラジーミル・ナボコフ
023.石川淳
024.久生十蘭
025.荒巻義雄(初期作品限定。架空戦記もの等は除く)
026.アンナ・カヴァン
027.尾崎一雄
028.ハーマン・メルヴィル
029.マルグリット・デュラス
030.ギュンター・グラス
031.レイ・ブラッドベリ
032.宇野浩二
033.小林信彦
034.獅子文六
035.中井英夫
036.J・M・G・ル=クレジオ
037.ロバート・シルヴァーバーグ
038.河野典生
039.ポール・ボウルズ
040.ナタリー・サロート
041.田久保英夫
042.野坂昭如
043.ラーシュ・イェーレンステン
044.アラン・ロブ=グリエ
045.大西巨人
046.ドナルド・バーセルミ
047.小沼丹
048.藤枝静男
049.ロベルト・ムージル
050.都筑道夫
051.色川武大/阿佐田哲也
052.結城昌治
053.中里介山
054.アルフレッド・ベスター
055.国枝史郎
056.ウィリアム・フォークナー
057.アルフレート・デーブリーン
058.トマス・ピンチョン
059.H・P・ラブクラフト
060.小栗虫太郎
061.マルグリット・ユルスナール
062.光瀬龍
063.ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ
064.クラリッセ・リスペクトール
065.アルフレッド・ジャリ
066.中原昌也
067.G・K・チェスタトン
066.日影丈吉
068.川端康成
069.サルヴァドール・ダリ(唯一の長篇小説『隠された顔』を持っていて未見。自叙伝類が面白い)
070.阿部和重
071.半村良
072.ヴィリエ・ド・リラダン
073.ミシェル・ビュトール
074.レーモン・クノー
075.かんべむさし
076.バリントン・J・ベイリー
077.オノレ・ド・バルザック
078.エドガー・アラン・ポー
079.モーリス・ブランショ
080.ヘルタ・ミュラー
081.カルロス・フエンテス
082.ジョルジュ・ペレック
083.多和田葉子
084.アーネスト・ヘミングウェイ
085.今日泊亜蘭
086.中上健次
087.堀田善衛
088.高行健
089.ダシール・ハメット
090.高木彬光
091.アンドレイ・ベールイ
092.梅崎春生
093.芥川龍之介
094.マリオ・バルガス=リョサ
095.中野重治
096.アーシュラ・K・ル=グイン
097.安部公房
098.天藤真
099.ミカ・ワルタリ
100.小松左京
ランク外のものでは、小中学生の頃に書店の文庫の棚を占めていた、当時の流行作家の本を装幀懐かしさに今頃読むというのが多い。梶山季之、広瀬仁紀、清水一行などの企業小説は今になると高度成長~安定期の日本のメンタリティや雰囲気を伝える“歴史小説”のように見える。
他に名探偵が出てくる本格ミステリ(ただしいわゆる新本格以前のもの、90位に入れた高木彬光や横溝正史)、ほとんど読まずに来たハードボイルドもの、冒険小説、時代小説の伝奇がかったものなども最近時々読む。90年代以降に出てきたエンターテインメント系の作家はあまり読まない。並べてみると10代から現在に至るまでの自分の地層が順不同で露出しているような印象(書影はあえて古いのばかりだが)。
一番長期間読んできたことになるジャンル、日本SFでは、眉村卓が最近『僕と妻の1778話』(集英社文庫)、『沈みゆく人―私ファンタジー』(出版芸術社)と、2点続けて新著を出した。
司政官シリーズを別にすると最高傑作は『ぬばたまの…』ではないかと思ってきたのだが『沈みゆく人』はその系統の長篇らしい。来年読むのが楽しみ。
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