季刊俳句同人誌「狼」Vol34から。
潤んだ目のさびしい魚焼く春の暮 小池弘子
はつなつの離島つむじが見えてくる 佐孝石画
どんどの火都会のキリン見えており 関戸美智子
歯ならびの気になっている桜鯛 舘百合子
飯粒に海がすっかり吸われていった 中内亮玄
花吹雪ひとひら猿の口元に 阿木よう子
陽炎をとらえて進む小舟かな 油本麻容子
雑木山静かな春の姿態かな 大沢輝一
非実在青少年あじさいを摘む 岡村知昭
「非実在青少年」は時事から拾った用語だろうが、《あぢさゐはすべて残像ではないか 山口優夢》に呼応した陰画のようでもある。
後半の「実験室」というコーナーは「名画を詠む」の2回目。
各々絵画作品を1点ずつ提示し、5句を付けているが3人から各1句。
ダヴィッド「ナポレオンの戴冠」
男根が薔薇に巻かれて立っていた 中内亮玄
藤田嗣治「アッツ島玉砕」
もういなくなり帝国の大歓喜 岡村知昭
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