『新撰21』がついに刊行された。
これから何回かに分け1人5句ずつくらいを目安に句を引いていこうと思う。内容サンプル代わりに見てもらえるとありがたい。
久々の新人アンソロジー企画であり、売れてほしいが、地方在住者は実物を手に取ることが困難なのだ。
年少順なのでトップバッターは越智友亮、当年とって18歳。
池田澄子に師事するべく広島から上京。現在法政大在学中。写真の笑顔がアフリカかアジアのどこかのちっちゃい子のような開けっぴろげさで、作風も開けっぴろげがつきぬけてヘンな措辞へとひらける感じが面白い(《風鈴や昭和のことについて聞く》なんて句もあるので、こちらがいきなり年寄りになった気もしますが)。
今日は晴れトマトおいしいとか言って 越智友亮
挙手つまり猫背ではない秋の空
冬の金魚家は安全だと思う
留守番つまらなし炬燵から出て歩く
古墳から森のにおいやコカコーラ
2番手は藤田哲史。
この人は俳句甲子園から東大俳句会を経て、若手の牙城「澤」所属。俳句におけるひとつのエリートコースか。
《秋風や汝の臍に何植ゑん》《我も汝も秋冷のもの汝を抱く》など、恋の句も、歳は幾つなのだかと思うくらい大人びてスマート、磐井さんたちも達者さに舌をまいています。
花過の海老の素揚にさつとしほ 藤田哲史
新緑にまた大学の鬱然と
邂逅やサンダルの緒の透明に
熱帯夜字幕隠れに女優の口
しやがみつつ金魚掬ひの腥き
3番目が山口優夢。この人も俳句甲子園組。
本人全然エリートくさいところはないのですが、開成、東大を出て、現在、大学院で火星の研究中。「銀化」所属。《心臓は…》の句は座談会で小澤實氏が「丈が高い」と絶賛。
台風や薬缶に頭蓋ほどの闇 山口優夢
心臓はひかりを知らず雪解川
あぢさゐはすべて残像ではないか
どこも夜水やうかんを切り分ける
眼球のごとく濡れたる花氷
【参考ブログ リンク】
海馬 みなとの詩歌ブログ
『新撰21』鑑賞INDEX
http://umiuma.blog.shinobi.jp/Entry/758/
『新撰21』鑑賞: 越智友亮
http://umiuma.blog.shinobi.jp/Entry/759/
『新撰21』鑑賞: 藤田哲史
http://umiuma.blog.shinobi.jp/Entry/760/
『新撰21』鑑賞: 山口優夢
http://umiuma.blog.shinobi.jp/Entry/761/
GO!LEAFS!GO!ぶろーぐ
http://dzv00444.dtiblog.com/blog-entry-2466.html
週間俳句
越智友亮の一句 日常語どうしのコラージュ ……上田信治
http://weekly-haiku.blogspot.com/2009/12/21_20.html
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