「らん」は鳴戸奈菜氏発行の季刊誌。
もてきまりさんに送ってもらったので、そこから抄出。
かくまはれてゐるのは父で螢籠 嵯峨根鈴子「おしゃべりな臓器」から
花茨に比翼の鶴の捨蒲団
花札の裏へまはればみなひるね
日曜の犯されたくて咲くダリア
日蝕の陽を集めたる浮巣かな
おしゃべりな臓器ここにも小鳥来る
白壁に麦わら帽子とパリ古地図 西谷裕子「パンの耳」から
炎天下藪より引けるハートのエース 中村光三郎「ハートのエース」から
空蝉や星満タンとのたまえり
柱にも淋しきいわれ鰯雲
手と足のまどろみによき鉦叩
白昼を突けばコンパス滴れる もてきまり
ものくろのふぃるむ時雨しビートルズ
許すとは蟻の目線や蟻地獄 矢田鏃
夏草の根の容積や縦・横・深
晩夏という鉄壁へ白い傷 五十嵐進
山旅や雲を引き連れダリ日和
闇を光のひとつに数え書きはじめ 伊東聖子
いえすの食べた物が思いだせない
Kさん、17名を殺傷しましたか
しぎ彳てるゆりうす暦のみぎわかな 丑丸敬史
チャンドラーとかロレンスとか亜剌比亜糊 海上晴安
うすやみが丸ごと夕顔に入りゆくよ 金子彩
ほたるぶくろ覗くと男巫がいた
鶏頭には口もお腹もないのです
バルトーク好きかと問へば日雷 高野射手男
秋の日にカットグラスは飛散せん 鳴戸奈菜
女役降ろされしみじみ初時雨
螢籠置かれしことも箱階段 服部瑠璃
傷口ややがてイエスの足音す 久冨風子
満月へ食い込む蚤 肉食む音
三伏や絵巻のなかに城燃えて 松下カロ
振り返るオルフェのような晩夏光
音立てて虹の生まるる水際あり 皆川燈
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