2021年12月
喜怒哀楽書房
『夜光貝』は月野木若菜(1962 - )の第1句集。序文:西村和子。
著者は「知音」同人。
去年今年人類はまだ進化する
朧夜や同期のひとり行方不明
真夜中のうどん屋の蚊にさされけり
抜け道に虫すだきをり紀尾井町
四月来る面接官の席に着き
冬の月五分後はまた会議室
新社員鳴らぬ電話を見てをりぬ
鰻食ひ我が重心の定まりぬ
咳しつつ咳の人避け銀座線
孫文の国にもクリスマスツリー
薄暑光辞令次々言ひ渡し
真円の残像炙り出す花火
凩や霞が関の灯のまばら
どこまでも未完の街よ渋谷冬
日脚伸ぶパソコン閉ぢてよいものか
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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