BL俳句誌「庫内灯」(編集発行:かかり真魚)2(2016年12月)から。
歯をみがいてやりぬ白梅の精の 金原まさ子
以下は「BL俳句×映画吟行」から。
ソーダ水溢れて二人遠くなる 旭 ミコ
Tシャツや抱きしめられて絞め返す 石原ユキオ
汗の演者を汗ばみて撮りにけり 岡田一実
夏の雨もう使ってはもらえない 岡田朋之
木の実降る考へすぎて汝と我 榮 猿丸
裸で勃起殺し屋も殺さるる王も 林 雅樹
ぼくも君も彼氏になる梔子のまま 松尾唯花
惜春のセメント色に川流れ 松本てふこ
流氷のように不良は消えてゆく merongree
「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年12月号から。
大声で石榴を投げてよこしけり 山口昭男
一本の線より破れゆく熟柿
墓洗ふかすれし文字を彫るやうに 石崎圭太
「舞」(編集発行:山西雅子)No.71(2017年1月)から。
貝殻のやうに葉の散り萩に冬 山西雅子
飲みたきは白湯にレモンの一垂らし 川瀬朋子
古書店の奥にその主秋湿り 秋津寺彦
鳥渡る母はベッドに正座して 陰山 恵(第2回舞賞受賞者特別作品)
練切の菊花百弁雲の秋
「澪」(編集発行:松林尚志)2017年1月号から。
踏みしめる森に弾力冬落暉 松林尚志
太枝落とし容くづれし朴冬木 藤田 宏
俳句同人誌「今」(編集・保坂敏子、発行・瀧澤和治)2016年冬-第16号から。
つぎつぎに鶏の唐揚げ日短し 加藤 勝
オルガンの音の中なる秋の雲 大隅チサ子
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2017年1月号から。
避寒人に蛸の干ものの吹かれたり 小澤 實
闇汁の誘ひ巻紙墨書もて 高橋睦郎(季語練習帖)
胡桃割る石はすべすべ拳大 天野正子
松茸裂き占地ほぐしてホイル焼 長谷川照子
レシート捨て財布ほそしよ蓼の花 榮 猿丸
Wチャーシュー麺チャーシュー十八枚完食福島の秋惜しむ 山口刃心
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2017年1月号から。
ふくろふをひとつと数へひとつ欲し 佐藤文香
むらさきの白へ消えつゝ冬菫 堀下 翔
人骨のかがやき霜の山道は 仲 寒蝉
目の前でされるピンハネ懐手 喪字男
殺意あり牡蠣が騒がしくてならぬ 小林苑を
東京タワー雑煮となるまでの時間 瀬戸正洋(特別作品)
水涸るる鞄の中を混ぜてをり 西川火尖(「この人を読みたい」)
2016年12月邑書林
『虎の夜食』は中村安伸(1971 - )の第1句集。ツイッター小説を随所にさしはさんだ編集。
作者は「豈」同人。
睡るため翼の欲しき五月かな
黄の薔薇の一輪愛し一輪踏む
秋の昼ヴァイオリンとは一人の森
少女みな写真のなかへ夕桜
全山の桜を背負ふ古狐
馬は夏野を十五ページも走つたか
うれひつゝ紙風船の船長に
新宿の月に髭描く遊びかな
コスモスは咲いてゐないと兵士のやう
蛇となる前のをみなを鏡の間
殺さないでください夜どほし桜ちる
京寒し金閣薪にくべてなほ
燃えるピアノの上に無疵の胡桃かな
秋雨の空母は誰が妻ならむ
神旅を終へて子宮に到着す
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
2017年1月ふらんす堂
『ただならぬぽ』は田島健一(1973 - )の第1句集。序:石寒太。
作者は「炎環」同人。「豆の木」「オルガン」参加。
中空にひかる午睡の不思議な樹
夕立を来る蓬髪の使者は息子
いれものにいれるとねむるように鯊
満月に眼のあり小学校の石
水蜜桃ふた部屋を風とおり過ぎ
白鳥定食いつまでも聲かがやくよ
紅梅やネバダにも似た花がある
流氷動画わたしの言葉ではないの
ヒトラー女性化計画複数形の蝶
餅肌や見えない滝で充ちている
匙とメロン部屋に子供たちがいない
光るうどんの途中を生きていて涼し
噴水の奥見つめ奥だらけになる
晴れやみごとな狐にふれてきし祝日
きよらかな器に子どもたちは雪
「儒艮」(編集発行:久保純夫)vol.20(2017年2月)から。
ここからは雪匂いけり妻のとき 久保純夫
実むらさき断頭台は地に浮いて 嵯峨根鈴子(招待作品)
少年と白鳥距離を縮めゆき 松下カロ(招待作品)
最近のコメント