「豆の木」(編集発行:こしのゆみこ)No.21(2017年5月)から。
素数から冬の書店に辿りつく 宮本佳世乃
蛤となり上澄みを照らすかな 上野葉月
風の身体持ち試着室を覗く夏 小野裕三
酉の市きらきら離ればなれかな 齋藤朝比古
化粧品とジャム論かつてない紅葉 田島健一
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2017年5月号から。
初鶏や国生むごとく糞をして 高野ムツオ
神童がまず転びたり雪合戦
三月の海が薄目を開けるとき 渡辺誠一郎
飯館の斑雪野にふと手を合はす 日下節子
コンビニの空っぽの棚三月来 大久保和子
仮設六年仮の世に春の雪 松岡百恵
「鷹」(発行:小川軽舟)2017年5月号から。
特集は「『俳句と暮らす』を読む」。
ワイシャツでめし食ひに出て春寒し 小川軽舟
散策が徘徊となる日の長さ 星野石雀
やどかりの脚あふれ出て動きけり 奥坂まや
春の山モデルは動かなくて好い 細谷ふみを
「紫」(発行:山﨑十生)2017年5月号から。
糸偏はおほかた怖し冴返る 山﨑十生
外へとはどこまでのこと鬼やらひ 鈴木紀子
入学祝は兄漕ぐボート隅田川 鈴木登代子
「汀」(発行:井上弘美)2017年5月号から。
堀切実「永田耕衣の俳句観」というのが連載されていてもう第3回。
若き日の父立たしめよ花の奥 井上弘美
立春大吉西京漬のよく焦げて 宇野恭子
受験子に飛行機雲の高さかな 斎藤謙子
「陸」(発行:中村和弘)2017年5月号から。
霊木を遠足の列発したり 中村和弘
宇宙語のリズムで稚(やや)と朝寝する 泉 風信子
小一のむすめふさほせ歌かるた 山本高分子
「澪」(編集発行:松林尚志)2017年5月号から。
方丈もこもれば砦春灯 松林尚志
乱筆となられて途絶ゆ師の賀状 奥村尚美
「草樹」(発行:渡辺和弘)第69号(2017年5月号)から。
グエン・ヴー・クイン・ニュー「ベトナム語の俳句―季語が必要なのか―」他を掲載。
春の鳶われら一行輪の真下 宇多喜代子
竹の節光りてつたふ春の雨 佐々木えみ子
マフラーに溺れるように人を待つ 井上睦雄
「韻」(発行:後藤昌治、編集:永井江美子・小笠原靖和・前野砥水)第24号(2017年4月)から。
シャッターを鎧のやうに冬の夜 金子ユリ(特別作品)
骨壺は蛇の匂いのする部屋に 谷口智子
啓蟄やまた仮の世に出てしまふ 寺島たかえ
法科大学院全灯ともす無月かな 山本左門
いつまでのこと枯蓮の直立は 米山久美子
古タイヤ穴に土筆の犇きぬ 渡邊淳子
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2017年5月号から。
春愁や貝塚になき蛸の骨 谷口智行
恥づかしく生まれて人や土筆摘む 野名紅里
接着剤遠くに匂ふ花見かな 青本瑞季
藪椿餡子の如くころげ落つ 堀下 翔
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