2019年12月
千葉信子
『合同句文集 凡』は千葉信子(1930 - )と千葉に師事する人たちの各50句と短文を収めた作品集。第3集にあたるらしい。
以下、全員1句ずつ。
他に物故者・小林稔は《貝殻を置き去りにして秋の海》という1句のみ収録。
水郷のみやげの一つ水中花 加藤憲子
菖蒲田の水のよろこぶ雲一つ 藤田寿子
昼食は手のとどくもの茄子トマト 宮野遊子
春の波コーヒー一杯ごちそうさま 森田弘子
卯の花腐しガスの炎(ほ)のまたたけり 岡崎 翠
一トンの牝馬の駆ける大旦 宮下奈緒
薄暑光母の遺影のそばに父 川又 優
春一番ゴッホの黄色せまりくる 吉田礼子
夕立や泉のコイン歪みたる 阿部さくら
ショパンの余韻さんまに塩を振るときも 里見さち
卒業の息を吐ききる校歌かな 五味ちひろ
寝ころべばおほひかぶさる大花火 みうら翔
過去はひらがな里山は深みどり 永井奈々
万緑のどの子も恐竜描きたり 織田宗卯
蟻のかほ蟻は知らざりでんでら野 千葉信子
※本書は千葉信子氏より寄贈を受けました。記して感謝します。
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