「小熊座」(発行:高野ムツオ)2014年6月号から。紙屑も宇宙の塵か春の夜 高野ムツオ好きなもの餡パン蛙の目借時 古山のぼる(物故)象は墓場へ人間は探梅へ 須崎敏之桜さわさわ中学生の夢の量エイプリルフールキメラマウスの目 水月りの風評と風化と三・一一忌 高橋森衛泉下にも囀あふれ歩き出す 佐藤成之白魚の天ぷらさよなら言ふ前に 関根かな*****************************************************Eurythmics - Don't Ask Me Why
「里」(発行:島田牙城、編集:仲寒蝉)2014年6月号から。 特集は「仲寒蝉句集『巨石文明』で石蹴りしよう」。書評=高柳克弘、黄土眠兎、一句鑑賞=津川絵理子、中岡毅雄、冨田拓也、他。 櫂未知子連載エッセイ100回記念で、片山由美子からの肉筆の手紙も掲載。 堀下翔「俳句雑誌管見」第2回は俳誌「澤」について、坂口安吾の「文学のふるさと」に引きつけて読んでいる。女子校の王子と呼ぶな青嵐 もりまりもなんとなく黴のにほひの白い箱 上田信治夏だ夏だと洗濯機回りをり 小林苑を麦秋の奥竹秋のそよぎあり 島田牙城ウォーホルの撃たれた街の薄暑かな 倉田有希梅干の種の尖りやワンピース 佐藤文香春の鯉水面だぶつかせて寄り来 谷口智行*****************************************************Drummers from Burundi performing at AICC Convention Center in Arusha, Tanzania - 2011-07-01
2014年ふらんす堂 竹村翠苑(1922 - )の第1句集。 2000年の「澤」創刊に参加、小澤實に師事。句集の序文も小澤實。 「澤」特有の洗練されたしつこさを内破するような、農家の90代女性の剛直なリアリズム。鍋の湯に入れし煮干や今朝の秋トラクター納屋に入れたり年の果生ぐさき堆肥すきこむ辛夷かなとろろ汁酒少し注ぎなほも擂る辞せばすぐ鍵せる音や雪しまき上へ飛ぶ雪もありけり人を恋ふ捥ぎつつも食へる蕃茄(トマト)や皮は吹きキヤタピラにくひ込む泥や稲を扱く干大根しんなり桶に納まりぬ団栗の轢き砕かれぬ車道の上糸瓜水一升壜に満ちにけり間引菜を洗ふや笊に起き上がる鏡餅鏡餅もて割りにけり赤紫蘇のよく育ちけり雑草も電子レンジ十秒蝗しづもりぬ※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。*****************************************************Art Blakey's Jazz Messengers - Umbria Jazz 1976 Full Concert
2014年百句会編集局 先に句集『異熟』を出している斉田仁の拾遺的句集。 私家版、限定50部で、100句強とインタヴューを収録。全32ページ。蛇穴を出てつまらんと言いにけり深海に鈴の音する涅槃かなもぐろ福造の帽子が置いてある春夜亀鳴いて他にも何か鳴きにけり葬列の中をゆらりと春の鮫春の野を行けばへこへこへこみけりツチブタと俺の無気力夏終わる鳥兜芽吹いた場所を覚えておく海底電線のたくっている星月夜闇汁にぶちこみしもの浮いて来ず懐手して体制の側にいる寒夜の鏡の見知らぬじじいは誰でしょう裸電球の圏内はただ雪降るだけ赤紙は季語ではないぞ若い諸君古池や俺が飛び込む水のおと※本書は関係者より寄贈を受けました。記して感謝します。*****************************************************ARCHIVIO IEM Tchaikovsky's Symphony N° 6 Патетическая - Orch. Mariinsky, Valery Gergiev
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2014年6月号から。夜桜に自分が居なくなる予感 田浪富布(特別作品20句から)穴掘っておそろしくなる花の下 直江裕子(特別作品20句から)コンビニの前を通つて卒業す 栗林 浩(特別作品20句から)ステーキを食べる子のごと山笑う 大谷昌弘万骨の覚め始めたる花筏 大畑 等花の夜の芯のところのガラス質 黒澤雅代少女いまパセリのような春休 佐々木幸子土耳古石ひとつ孕んで春の山 塩野谷仁地獄耳六つ並んで花の昼 下山田禮子 ちなみに一句目、直接関係ないのだが、BL方面に「桜にさらわれる」という定番ネタがある。*****************************************************W. A. Mozart - Symphony No. 41 "Jupiter" in C major (Harnoncourt)
「堊」(発行:高石直幸)2014年6月号から。転校の少女に鬱とアマリリス 高石直幸吊り橋の少女に憑ける山の蝶 鈴木実千代沖波の風吹き変る葱坊主 大隈チサ子繋船をさざなみの押す暮春かな 浦みつる なおこの号に《十五歳紺の水着を絞りけり》という句があったが、佐藤文香句集『海藻標本』に既に《少女みな紺の水着を絞りけり》があり、佐藤の代表句の一つとなっている。*****************************************************Depeche Mode - Walking In My Shoes (Remastered Video)
「陸」(発行:中村和弘)2014年6月号から。初夏の渚を掘れば稚貝満つ 中村和弘レシートを拾つてよりの冬の山 大類つとむ清明の朝ヘリが来て遺跡撮る 太秦女良夫ガラス戸拭く黄泉より豆撒見えるよう 山田晃子
*****************************************************Iannis Xenakis - "Terretektorh" für Orchester - Cresc... Biennale für Moderne Musik
「都市」(発行編集:中西夕紀)2014年6月号から。 栗山心の「新・俳句月評(第23回)」は「芝不器男俳句新人賞」。栗山さん自身も、私の呼び掛けに応じて、第4回の公開選考会当日、ボランティア・スタッフとして運営に参加してくれたので、その見聞記。古草の光ためゐる汀かな 中西夕紀灰皿は棚の暗がり彼岸過 本多 燐放流のダムは芽吹きの中にあり 松井葉子春の朝モーツァルト聞き投票す 三遊亭らん丈*****************************************************Valery Afanassiev koncertas Lietuvos nacionalinėje filhamonijoje @ LRT KULTŪRA
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2014年5月号から。薫風を入れてはかどる稿ひとつ 嶋田麻紀バス停にこぼれてをりし雛あられ 鹿志村のぼる蛇穴を出づるごとくに退院す 瀬野 浩
*****************************************************Pet Shop Boys - Suburbia
「船団」(代表:坪内稔典)第101号(2014年6月)から。 特集は「花いちもんめ―どの花欲しい?」。題名だけではどういう特集かわからないが、「椿」とか「シクラメン」とか花の種類別に会員の句を集めたもの。クリスマスツリー幻をのむ時間 水城ユヤ(「ほろ酔い気分」30句から)白シャツと黒の下着の採血日 衛藤夏子(「調剤室から」30句から)アスファルト蟷螂死んでアスファルト 小川弘子(「カナリア抱いて」30句から)お正月暗いところに味噌醤油 内田美紗(「オダリスク」30句から)秋の書庫ハムレットに裾踏まれしか 若森京子温泉饅頭日々蒸しあがり春が来た 池田澄子今日のように日昇り東京大空襲冬籠。、()「」 朽木さよ子原子炉を抱いて菜の花半島よ 坪内稔典君は今ラファエル前派春の水星ぐらい手袋取ってつかみなさい ねじめ正一自転車は翼なけれど春の風 三宅やよいミシェル・ド・モンテーニュ式冬ごもり 森 弘則シュノーケルの男だらけの海開き 山本たくや*****************************************************昭和初期の帝都・東京/Tokyo,Empire of Japan 1938
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