これも不調で放置してあった2025年3月分。
ブログに画像がなかなか貼れない、もしくは貼っても表示されないエラーがもう何ヶ月にもわたって続いている。
海野弘『ココ・シャネルの星座』中公文庫・1992年
《一九二〇年代のパリのファッション界に革命的創造をもたらした天才ココ・シャネル。その華麗な生涯を、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、ルキノ・ヴィスコンティなど彼女と親交のあった芸術家たちの視点から描く、想像力あふれる評伝。》
クラリッセ・リスペクトル『ソフィアの災難』河出書房新社・2024年
《『星の時』(福嶋伸洋訳・第8回日本翻訳大賞受賞)の著者による日本オリジナル短篇集。世界文学に彗星のように現れたデビューから51歳でむかえた死の直前まで、全短編からセレクト。
今、すべてが生まれ変わりつつあった――。日本翻訳大賞受賞『星の時』の著者であり、ウルフ、カフカ、ジョイスらと並ぶ20世紀の巨匠。死後約40年を経て世界に衝撃を与えた短篇群。
10代から晩年の作品まで。
南米の巨匠の全貌を示す衝撃の短篇群、日本オリジナル編集。
若者の目覚め、主婦におとずれた啓示、
少女の運命、出口を求める老婆――。
一貫性を捨て、混沌へと向かう、
鋭利な言葉と燃え盛る世界。
「暑さがますます蒸せ返り、すべてが力と大きな声を獲得していた。祖国志願兵通りは、いまにも革命が勃発しそうで、下水の格子蓋はからからに乾き、空気は埃っぽかった」(「愛」より)》
収録作品=脱走/異国の軍隊/一日少なく/家族の絆/秘密の幸福/勝利/ウルカの海の死者/第五の物語/愛/切なる望み/彼は私を呑んだ/神を赦す/あふれる愛の物語/ソフィアの災難/P語/カーニヴァルの残りもの/家政婦の女の子/めんどり/お誕生日おめでとう/マウアー広場/近視の進行/誠実な友情/パンを分かち合う/美女と野獣、または大きすぎる傷/今のところ/子どもを描き留める/卵とめんどり/ある物体についての報告書/尊厳を求めて
樺山紘一『カタロニアへの眼』中公文庫・1990年
《スペイン、イベリア半島の概念では括りきれないカタロニア。文明の十字路として、幾通りもの文化が歴史に痕跡をとどめるカタロニア。スペイン内戦を熱くたたかい、敗れたカタロニア。ガウディ、ピカソ、ミロ、ダリ、カザルスなど世紀の美の巨人たちを輩出したカタロニア。――
想像力を刺激してやまない西欧の辺境カタロニアの独自性を論述し、歴史・社会・文化に通底するカタロニアの内質をあらわにする、根源的なカタロニア論》
藤原新也『台湾 韓国 香港―逍遙游記』朝日文庫・1987年
《このアジア漢字文化圏における、牛の歩みのようなゆったりとした旅は、私の三十三歳のときのものである。多分その旅は、熱い青春期を終え、壮年期に移るはざまの、あの言いようもなく所属感の失われた時に、ひとを不意につつみこむ、やわらかい「繭の中の遊境」であったのかも知れない。》
武田泰淳『ニセ札つかいの手記―武田泰淳異色短篇集』中公文庫・2012年
《一日おきに三枚ずつ渡されるニセ札をつかうことで「源さん」との関係を保とうとする私。しかし、その「ニセ札」が「ニセ」でなかったとしたら……。ニセ物と本物の転換を鮮やかに描く表題作ほか、視覚というテーマをめぐる不気味な幻想譚「めがね」など、戦後文学の旗手、再発見につながる七作を収める。 編集、解説・高崎俊夫》
収録作品=めがね/「ゴジラ」の来る夜/空間の犯罪/女の部屋/白昼の通り魔/誰を方舟に残すか/ニセ札つかいの手記
小林久三『秀吉埋蔵金殺人事件』光風社文庫・1996年
《刑務所から出所したばかりの男が、東京郊外に住む俳句の師匠・原花狼を刺し殺した。二人の接点は!? 事件の背後を追う雑誌記者・磯田の前に、四百年間も謎に包まれて眠り続ける“太閤遺金”四億五千万両の埋蔵金伝説が……。限りない夢とロマンの黄金探し推理長編。》
三浦哲郎『愁月記』新潮文庫・1993年
《一家の暗い宿命を負って生きた母が、九十一歳で長かった辛い人生を終えようとしている。その死の前後を静謐な文章で淡々と綴った母への絶唱「愁月記」ほか、久しぶりに肉親たちや著者自身に関わる作品ばかりで編んだ待望の短篇集。七篇の収録作は、それぞれ『忍ぶ川』『白夜を旅する人々』など、著者自らの運命の系譜を辿る諸作に連なるもので、短篇の名手が遺憾なく真骨頂を発揮する。》
収録作品=愁月記/ヒカダの記憶/からかさ譚/夜話/居酒屋にて/海峡/病舎まで
西村寿行『頽れた神々(上)』徳間文庫・1992年
《国際金融資本が群がり、麻薬とギャンブル、セックスの氾濫する欲望都市・四国州。
超国家機密を握る科学者が、その四国州に拐取された。連邦警察は、州政府を陰で操る男達を狙って殺し犬を放ったが、潜入した二人の女性捜査官は囚われ、凌辱の底に沈んだ。
混迷する情勢の打開に、四国州の麻薬ルートを支配する罌粟旅団の暗躍が始まった。旅団の正体は? 異色ハードロマン長篇。》
西村寿行『頽れた神々(下)』徳間文庫・1992年
《暴走する四国州の弾圧に乗りだした連邦警察に抗して、四国州も牙を剥いた。囚われの女連邦捜査官らは性交用奴隷に、また人体実験によって、脳支配のメカニズム解明が急ピッチで進められた。四国州は世界制覇の野望に狂奔した。
だがなぜか大包囲網を布いた連邦警察は動かない。謎の罌粟旅団と連邦警察との関わりをキャッチした四国州は、全勢力を罌粟旅団との死闘に注ぎ込んだ。異色ハードロマン完結篇。》
西村寿行『涯の鷲』徳間文庫・1993年
《伊造組長が朝日岳で人妻との青空性交を愉しんでいるさなか、飛来したヘリから狙撃された。わけもわからず伊造は逃げた。だが理由はあった。登山道で男とすれちがった。その男が、伊造のザックにマイクロフィルムをしのばせたのだ。フィルムを争奪する陸幕の二つの工作チーム。背後には大国の諜報組織がからむ。伊能と中郷の死神コンビが動きだし、死屍累々の殺戦戦の墓は切って落とされた。ハードロマン巨篇。》
和田誠・村上春樹『ポートレイト・イン・ジャズ』新潮文庫・2003年
《和田誠が描くミュージシャンの肖像に、村上春樹がエッセイを添えたジャズ名鑑。ともに十代でジャズに出会い、数多くの名演奏を聴きこんできた二人が選びに選んだのは、マニアを唸らせ、入門者を暖かく迎えるよりすぐりのラインアップ。著者(村上)が所蔵するLPジャケットの貴重な写真も満載! 単行本二冊を収録し、あらたにボーナス・トラック三篇を加えた増補決定版。》
荒巻義雄『白壁の文字は夕陽に映える』ハヤカワ・SF・シリーズ・1972年
《1970年8月、一人の新人作家がSFマガジン誌上に登場した。新人らしからぬ洗練された文章と風格とを兼ね備え、しかも独特のSF理論“術の小説論”をひっさげて――「事実的問題を前にして既成の知識をいかに適用するかを考える」ことに人間の本性を見いだす彼、荒巻義雄は、三次元的存在からは達成できない自由をテクノロジー的に――彼の言葉に従っていえば“術”的に解決することにSFの本質を見、“術の小説論”に逢着したのである。しかし、だからといって彼の作品は決して近づきがたい晦渋なものではない。はるかな異世界から漂い来るロマンの香りと卓抜な文章テクニックは、読者を幻想世界ともいうべき異境へと誘なうことだろう。
本書は彼の作品群の二大潮流から、ロマンの味わいの強い作品を選び収録した、期待の大型新人の第一短篇集。
*
バラードの知能指数は極度に低下、まったくの無能力者となったかに見えた。だが、彼は代償として恐るべき力を手に入れたのだ……ある精神病患者の奇怪な変異を通し人類の運命を占う「白壁の文字は夕陽に映える」ほか読者に圧倒的な人気を持つ新鋭、荒巻義雄の力作6篇をこの一冊に結集!》
収録作品=白壁の文字は夕陽に映える/緑の太陽/ああ荒野/柔らかい時計/無限への崩壊/大いなる失墜
中村元・水上勉『濁世の仏教―仏教史講義』朝日出版社・1980年
《正師と仰ぐ如浄と遭った宗から帰国して、道元は比叡山に上らず越の国、永平寺に向かう。この行為の軌跡に踏みこむとき、正伝の仏法を求める道元の思想と生が、地下茎のようにながらえて、一所不住の良寛や『二人比丘尼』を著した鈴木正三などを芽ばえさせる。彼等は、教団や制度に拠り宗学を講ずるのではなく、これらを捨てて、仏法と民衆の切点に自らの生きざまを正法顕現の場と化し、仏教の、禅の身現を生きたのであった。》
藤原新也『ディングルの入江』集英社文庫・2001年
《アイルランドを訪ねた写真家の「私」が出会った女流画家プーカ。沖合に浮かぶ今は無人の島ブラスケットを見つめる彼女は、幼い頃島に流れ着き、一切の記憶を失って育った。彼女がキャンバスに描くのは、失われた時間と自分だけの物語。その姿は、同じ漂流者たる「私」の心をとらえるのだった。孤独な魂と魂が寄り添い、共鳴して……。無数の国境を横断し、人間の光と闇を見つめてきた著者初の長編小説。》
種村季弘『書物漫遊記』ちくま文庫・1986年
《書物の頁を繰ると、そこから不思議な幻想世界への旅がはじまっていた。戦中から焼跡へ、さらに未来へと、失われた都市の相貌を求めて、通り過ぎた奇人、変人、そして凡人たちの顔を探して、書物めぐりの旅は続く。名著、奇書、珍本……博覧強記の筆者による異色の読書案内。 解説 池内紀》
寺山修司『不思議図書館』角川文庫・1984年
《けたはずれの好奇心と、独得の読書哲学をもった「不思議図書館」長=寺山修司が、古本屋の片隅で、あるいは、古本市で見つけた不思議な本の数々。――ロボットの百科事典、吸血鬼に関する文献資料、だまし絵、竜の画集、少女雑誌と、かなりの奇書・珍書のコレクションを公開する愉しい読書案内。 〈解説〉柳瀬尚紀》
井上靖・司馬遼太郎『西域をゆく』文春文庫・1998年
《「四十年かけて、ここまで歩いてきたようなものだから、草臥れた」。ホータンに着いた日、二人は昏々と眠った。少年のころからのあこがれの地を踏んだ作家達は何を見、何を感じたのか。同行した両氏が旅の興奮さめやらぬままに語った、それぞれの「西域」。東洋の古い歴史から民族、そしてその運命へと熱論は続く。 解説・平山郁夫》
瀬戸内晴美『インド夢幻』文春文庫・1986年
《親しい知人が企画したインド巡礼の旅に参加する。新聞の連載が終り、雑誌の書きだめの見通しもついた。白衣の上にナイロン紗の木蘭色(黄)の衣、首に輪袈裟と赤瑪瑙の数珠、足には白い運動靴。衣を黄色にしたのは、インドでは黄色の僧衣を着た僧侶が尊敬されるため。いざ憧れの地へ、釈尊の跡を訪ねて。 解説・中沢新一》
丸田祥三『鉄道廃墟』ちくま文庫・2004年
《野ざらしとなった車両、草むした中に伸びる線路など、カメラマン自らが「棄景」と呼ぶ光景を捉えた写真&エッセイ。かつて近代化の響きを地上に轟かせた列車たちの痕跡がなまなましく残る風景や、幻想のかなたに甦る人間の記憶ともいうべき画像の数々。70年代以降、東京を含め日本各地に残っていた鉄道廃墟を写しとった、危険な魅力に満ちた一冊。》
小林久三『殺意の迷路』桃園新書・1990年
《破局におびえる谷畑刑事の脳裡に、新聞の見出しが浮かんだ。「現職刑事、暴力団幹部の女と関係! 清算目的の無理心中か」――谷畑は脅迫されていた。交際している女性との関係を上司にバラすというのだ。
東京の郊外都市を舞台に、事件にまきこまれた刑事の苦悩と執念を描いた本格サスペンス・ミステリー。》
収録作品=みえない兇器/白い密室/真夜中の女教師/裁きの闇/倉敷発夜行殺人列車
亀井俊介・川本皓嗣編『アメリカ名詩選』岩波文庫・1993年
《17,18世紀の植民地時代から、「アメリカ詩の時代」といわれる20世紀までアメリカの名詩百編を収めた対訳詩集。ポー、.ホイットマン、ディキンソン、パウンドらの名詩を原文で味わいたいすべての愛好家に贈る。》
綾辻行人『殺人方程式』カッパ・ノベルス・1989年
《「く、く、首がない!」小心刑事・明日香井叶の眼前には、なんと、首と左腕が切断された死体が――!?
被害者は『御玉神照命会』の教主・貴伝名剛三。彼は本部ビル内で“密室”状態にあったが、何故か、死体が発見されたのは川を越えた対岸のマンションだった!? しかも、前教主・貴伝名光子が謎の死を遂げた直後の惨劇。やがて息子の光彦に嫌疑が……。叶の双子の兄・響が、周到に練り上げられた完全犯罪に挑む!
ミステリー界期待の大型新鋭が、空前のトリックと、強烈なドンデン返しで世に問う、堂々の本格推理登場!!》
綾辻行人『暗闇の囁き』ノン・ノベル・1989年
《十年ぶりに烏裂野の別荘を訪れた拓也は、円城寺実矢・麻堵の兄弟と知り合うが、彼らの家庭教師遙佳から奇妙な依頼を受けた。“黒髪を切られていた前任者の事故死の真相究明を手伝ってほしい”というのだ。秘密めく円城寺家と、二人がひた隠しにする「あっちゃん」という子供の存在。やがて少年たちの従兄が行方不明となり、その母が墜落死を遂げた……。黒髪はなぜ切られたのか? あっちゃんとは何者なのか? 続発する不可解な事件の真相は? 注目の俊英が贈る自信の異色作!》
綾辻行人『人形館の殺人』講談社ノベルス・1989年
《飛龍想一が京都、北白川に建つ「人形館」に越してきた時、驚天動地の終結(カタストロフィ)へ向けて秒読みは始まった。屋敷には父が遺した異形のマネキン人形たちが佇み、付近では通り魔殺人があいつぐ。そして彼にしのびよる姿なき殺人者。名探偵・島田潔の登場と奇矯な建築家・中村青司の影。……シリーズ最強最深のショック!》
竹本健治『ウロボロスの偽書』講談社ノベルス・1993年
《竹本健治の連載ミステリに、ひそかに忍び込む残虐非道な殺人鬼の手記。連載が回を重ねるにつれ、虚構と現実は、妖しくも過激に昏迷の度を深める。竹本健治、綾辻行人、友成純一、新保博久、島田荘司……。ミステリ界を彩る豪華キャストが実名で登場、迷宮譚に花を添える。『匣の中の失楽』と並び賞される傑作》
筒井康隆『老人の美学』新潮新書・2021年
《青年、中年からやがて老年へ。人生百年時代にあっても、「老い」は誰にとっても最初にして最後の道行きなのだ。自分の居場所を見定めながら、社会の中でどう自らを律すればいいのか。周囲との付き合い方から、孤独との向き合い方、いつか訪れる最期を意識しての心の構えまで――85歳を迎えた巨匠・筒井康隆が書き下ろす、斬新にして痛快、リアルな知恵にあふれた最強の老年論!》
阿刀田高他『お笑いを一席』新潮文庫・1981年
《当代一流の才人たちが、腕によりをかけた新作落語でご機縁をうかがいます。人情話あり、艶笑話あり、廓話あり。昔なじみの語り口のなかに、現代感覚あふれる笑いがふんだんにもり込められています。出し物は、阿刀田高『狐のラーゲ』、井上ひさし『御松茸』、色川武大『いとえん』、野坂昭如『野ざらし』、結城昌治『裸大黒』、和田誠『鬼ヶ島』など全十九席。文庫オリジナル作品です。》
収録作品=狐のラーゲ・親ごころ(阿刀田高)/人質(飯沢匡)/御松茸(井上ひさし)/いとえん(色川武大)/土耳古息子・めごえ(江国滋)/不思議の国のアリンス・かりぎゅら(長部日出雄)/せっかち(駒田信二)/節約時代(塩田丸男)/ころんでおきて(田中小実昌)/押入れ間男・朝寝くらべ(都筑道夫)/廓の殿様(戸板康二)/野ざらし(野坂昭如)/独身者同盟(藤本義一)/裸大黒(結城昌治)/鬼ヶ島(和田誠)
栗本薫『新・天狼星ヴァンパイア(上)恐怖の章』講談社文庫・2000年
《誘拐された少女三人の死体は、血が抜かれた上に、残酷な仕掛けがなされていた。ミュージカルのオーディションを受けた日、竜崎晶はN.Y.の吸血殺人鬼の事件を知らされる。ついにヴァンパイアが東京上陸か? 迎え討つ名探偵・伊集院大介。最大の敵、殺人鬼・刀根一太郎と魔人・シリウスが復活したのか!?》
栗本薫『新・天狼星ヴァンパイア(下)異形の章』講談社文庫・2000年
《大物プロデューサーの後押しで晶は大舞台の主役に抜てきされる。その身辺で、次々と起こる奇怪な殺人事件。容疑者にされた晶自身にも、刀根の魔の手が忍び寄る。シリウスは正体を現すのか? 晶を守るべく苦闘する伊集院大介の前に、数々の謎が立ちはだかる。名探偵、殺人鬼、魔人の死闘! 長編ミステリー。》
最近のコメント