『鑑真』は宮坂静生(1937 - )の第14句集。
著者は「岳」主宰。
落鮎の腸食べ友はホスピスへ
孫文をかくまひ日比谷枯木宿
猪罠(ししわな)がひらき満蒙忘れ得ず
霓(にじ)といふ兜太が贈りくるるもの
叩かれてバナナはみんなほとけさま
マスクメロンの深部に井筒俊彦ゐ
小諸まで雲を摑みに枯木宿
葱坊主妖怪を率(い)てガザへ発つ
逝きし子の柱の中にゐる小春
和上像
冬麗の普し瞼あたためむ
妻が採りし白根葵の種の量
マン・レイ展磯馴松(そなれまつ)の葉冷えてきし
幣(みてぐら)の礁に置かれ祭終ふ
北斎の眼 五句 より
白髪太夫北斎いつも血の眼
自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった
厄災を我身内に負うことではないのか (古井由吉「遺稿」)
古井由吉よ踏切の立葵
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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