『絵本の海』は酒井久美子(1954 - )の第1句集。序文:名村早智子。
著者は「朱愚」製作チーム、「玉梓」同人。
夕蛙集落の灯が田に揺るる
鯉跳ぬるしぶきを許す杜若
夏草や義父追ひ義母も黄泉の国
月光の楔のごとし去年今年
石に落ち沈思黙考沙羅の花
梨一口食べさせたくて母を訪ふ
母もまた過客となりぬ冬銀河
三輪山のその麓より花の雲
仏足石覗き駆け出す夏帽子
大西日生家更地といふ土に
夏の蝶ひとり遊びの影を追ふ
聖夜劇友の台詞も覚えし子
坂道のゴールは我が家冬銀河
地平までアンダルシアの向日葵は
団栗をゲーテの像に供へし子
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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