『玉響』は正木ゆう子(1952 - )の句集。
ゆづりあふことのあるらむ蜷(にな)の道
フレコンバッグの中なる春の土のこゑ
燼(もえさし)に弧あり直(すぐ)あり焼野原
灯のおよぶ限りの雪へおやすみなさい
憧れのもののひとつに芋水車
馬の腹の如きの垂れて蚊帳の天
杉の葉の散る音の憑く旅の後
新型コロナウイルス感染拡大
梟の音なくよぎるやうに日々
看取りなら枯蟷螂に願ひたく
身を庇ふこと冬蝶を飼ふごとく
けふ土手は紋白蝶の祭らし
澁谷道さんと約束
蟬羽月お茶をするなら竹林で
割つて石榴の粒ぶちまける夜なりけり
どちらかといへば暗いからどちらかといへば明るいへと寒暁
父情あり冬帝にそして死神に
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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