『見失ふために』は寺田幸子(1948 - )の第1句集。序文:守屋明俊。
著者は「閏」同人。
貨物列車のレタスの傷む映画見き
月光に背中曝して鳴くものよ
レール置かば汽車現れむ大枯野
初雪や町に含羞あるごとし
セーターの黒のまぶしき人なりき
母と食むレタス明るきレストラン
木登りといふ涼しさにゐる子かな
枯蘆原やさしき場所としてありぬ
元気にとちちの最後の賀状かな
夜行列車にどこか似てゐる目刺かな
絶滅といふ骨格の涼しさよ
冬ざれや母のやうなる待避線
黄蝶かな檸檬が空をゆくやうに
白桃剥く百鬼夜行の暗がりに
冬が来る鯨が鹹き海を来る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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