『全山落葉』は仲寒蟬の第3句集。栞文:櫂未知子。
著者は「牧」「平」代表、「群青」同人。
野分雲飛ばされさうに来るは父
モンゴルの草原に似てパンの黴
踏みにじる菫は戦車から見えず
この国の要所要所に葱畑
焚火見る瞳の向かうにも焚火
もうあんなところ幼きスケーター
どこにでもゐる小林と野焼見に
恋の意味知らぬ強さや歌留多取り
飛魚が魚をやめてゐる時間
集めても町にはならず冬灯し
たんぽぽをたどればローマまで行ける
わが去りし席が消毒され西日
アマゾンの焼畑地球への送り火
雪しづりゆく銅像の後頭部
蛸壺を出てより蛸の速きこと
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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