『鼓動』は柳堀悦子(1953 - )の第1句集。跋文:島田牙城。
著者は「晨」同人、「里」会員。
依代のごと枯木星ありにけり
廃業を告げ父の墓洗ひけり
ぐわんぐわん唸る窯場の扇風機
畑より連れて帰りし雪婆
日脚伸ぶ大縄跳びの輪の中に
蠟梅を見てゐる母を摩りけり
親も汗赤子も汗の授乳かな
年惜しむ父の声ある録音機
白菊の固き蕾を出荷せり
黄砂ふる一塊の象の群れ
熊肉のカレーを煮込むマタギ小屋
夕闇の富士より高き秋桜
しぐるるやかがみひとつの理髪店
くしやみして背中より入る風邪の神
母 節江 九十二歳
新樹光母は塗り絵をしてをりぬ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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