『羽化の街』は小田島渚(1973 - )の第1句集。序文:高野ムツオ、栞文:小林恭二、穂村弘。
著者は「小熊座」同人。
荒東風に斧研がれ旅立つは今
いかのぼり曾祖父母らの出逢ふ村
緑蔭やどのくちびるも開かれず
子の眠る丸窓にとびうをの影
芋虫に咆哮といふ姿あり
星々の位置知り尽くし熊眠る
やがて鳥の心臓が生む冬銀河
遠泳や生まるる前の全能感
人類のみな断崖で踊るなり
手毬つくたびに青空裂けてゆく
撃たれたる記憶毛皮の全面に
子猫から子猫分裂したような
大寒の國ぞすべての手にパンを
日本語しか話せず海市さまよへり
血だまりのごともつれ合ひ秋の蛇
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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