『花と夜盗』は小津夜景(1973 - )の第2句集。
春なれば棺の窓をあけておく
風船の縁(へり)をすべりて光の刃
蝉生(あ)れて死んで愛してゐた時間
おはやうのやうなさよなら夏隣
禅銃(ゼン・ガン)に触手ふるへる大花野
世界嫌ひのレモンと聞くぞ此処で跳べ
ネオサイタマにひんやりと在り忍者我(われ)
鯛焼を購(か)うて日暮れを永(なが)うせん
蛇の漏れ出る蛇穴の思ひかな
古代魚のふつくら炊けて花の宴
架空の島も昏れてゆくのか
ムーン・リバーがわが墓ならば遊ぶあなたは花筏
髏众甃 されかうべ/ひとがあつまる/いしだたみ
百合の骨つまめば砂となりしのみ
船底に伏せばふたりは星ふる犬
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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