『あきる野』は伊丹啓子(1948 - )の第3句集。
著者は「青群俳句会」顧問。
太鼓橋の晴着を映す 池の鯉
木馬に乗って デジタル庁の門叩く
ラムネ瓶はシュールな女体 浜の舎(いえ)
街歩き 内耳に魔笛ひびきつつ
父逝かせるに父に縋るよ 強き父
骨壺の父が居残り 無人の家
青梅街道 廃屋 神社 又廃屋
古町 白壁 抱擁の影考妣(ちちはは)か
ドリーA ドリーB呼ぶ 羊雲
蓄音機 疾うに失せしはエノケン座
スカイツリーの光輪回る 月蝕下
崖あれば落ちる夢みる 秋の暮
まず鸚鵡返しではじまる 腹話術
月蝕に わが身削れてゆくような
白磁大小狐のうたげ 塔頭 春
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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