『しみづあたたかをふくむ』は森賀まり(1960 - )の第3句集。
著者は「百鳥」「静かな場所」同人。
草の蜘蛛ふはりと何もなき方へ
学寮の茂に匂ひありにけり
向う岸冬満月に近くあり
はんざきのどさりと抛りたるごとし
冬林檎三つ傾きあひてをり
片目づつ別の桔梗を見てゐたる
十月の砂地を歩きつづけたり
鳥の巣の踏みくぼみたるところかな
夏の蝶空に大波あるやうに
電線のよく見えてゐる夕涼み
紙袋鳴らしてあるく寒さかな
水吸うて新聞あをし花八ツ手
鸚鵡貝春の触手を揉みあへる
浜木綿のばうと光れる砂地かな
草じらみ鞄の朽ちてゆくかたさ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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