『湊』は清水美智子(1942 - )の第1句集。序文:宮坂静生。
著者は「岳」同人。
秋澄めり彫金展のイルカたち
水禍
仮橋を三つわたして秋夕焼
白き花の名を問ひながら夏信濃
秋没日ピザ焼けるまで海を見て
ひとつづつ湯屋まで点す雪灯籠
朝焼のグランドキャニオン吾は風に
すべすべの子の髪洗ふ初湯かな
修道院の手秤葡萄買ひにけり
とほき日の荼毘の火のいろ野火さかん
母生れて逝きし五月よ地の息吹
啄木鳥の音のさみどり峠道
まとひつくやうな闇なり牛蛙
健やかなれアフガンの井戸雪解星
クリムトの生命の樹よ春遅々と
出熊猟熊の胆で買ふ小さき長靴(くつ)
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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