『草の罠』は水野真由美(1957 - )の第3句集か。
著者は「海原」同人、「鬣」編集人。
赤まんまの花まばらなり海を背に
遊べる神も田の神も去り再稼働
無花果の昏き甘さや古代文字
はつなつの橋や頭蓋のけむるなり
男老ゆ木霊らの夢に見られつつ
風花を老いたる猫と少し嗅ぐ
井戸の底ひの少年真昼の星を見る
雨乞ひの女相撲の飯を炊く
蝙蝠のいつ帰り来し兄の部屋
男らは紙風船を打ち合へり
座布団よりはみ出す猫や半夏生
さびしさに酒蔵ひらく青葉騒
眼裏に飼ふ狐火のよく揺れる
陽に透けてひとり遊びの金平糖
缶に戻すフィルムの母の燃えしまま
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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